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知らないうちにトラップにかかっている 【書評】マッテオ・モッテルリーニ(著)『世界は感情で動く』(紀伊国屋書店)

今日ご紹介するのは

 

世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ

世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ

 

 

最近よく雑誌などで“読書”特集や“オススメ本”特集が組まれますが、
そんなとき必ず経済分野で必ず推薦される一冊が

 

経済は感情で動く : はじめての行動経済学

経済は感情で動く : はじめての行動経済学

 

 

で、本書はその続編です。

ワタクシも前々から「行動経済学って面白そう」と思い、そのうち読んでみようとのんびり構えていたら早くも新刊の登場。
まだ前作を読んでないのですが、新しい方に飛びついてしまいました。

 

【目次】

 はじめに――「脳のトラップ」を知ろう
  「直感」は頼りにできるのか
  「脳のトラップ」のメカニズム
  有益な行動への道を開くために  
 パート1 まずは心の準備体操
  1 予言どおりに銀行は倒産した――予言の自己成就
  2 つらい検査が快適になる方法――ピーク・エンドの法則
  3 1ドル買うのにいくら払うか?――コンコルドの誤謬    他
 パート2 あまりに人間的な脳
  5 表が出たら私の勝ち、裏が出たらあなたの負け――基準値の誤り
  6 「ホットハンド」の持ち主を探せ!――大数の法則
  7 マリアの職業を当てなさい――代表性のマジック    他
 パート3 集団の中での困った判断
  17 他人には辛く、自分には甘い――帰属のエラー
  18 うぬばれ屋の言い訳――自己奉仕的バイアス
  19 「愚か者の親玉」はリッチになる――集団の知恵    他
 パート4 いざ、決断のとき
  33 ダイエットは明日からはじめよう――プランニングの誤り
  34 リターンを考えすぎる人、リスクを考えすぎる人――欲深と尻すぼみ
  35 都合のいいことだけを覚えている――明るい記憶    他

【概要&感想など】
本書は39のテーマに沿って豊富な実例と実験結果が掲載されています。
これをいつものように【ポイント&レバレッジメモ】にまとめるのはちょっと無理。
また、ネタバレ自重などから、今回は気になった法則や実験を数例あげ、思ったことなどを述べさせていただきます。
m(-_-)m スマヌ

★代表性のマジック

問15(選挙の候補者について)
三人の候補者について判断することになった。どの候補者に一票を投じますか。
A 一番目の候補者は、腐敗した政治団体との一件に巻き込まれたことがある。星占いに凝っている。愛人が二人。ヘビースモーカーで日に六箱から十箱あける。
B 二番目の候補者は、二度役職を罷免されたことがある。抑うつ傾向があり、お昼まで寝ている。毎日ウィスキーを一瓶空け、仕事中に居眠りをする。
C 三番目の候補者は、愛国者で軍部から勲章を与えられた。菜食主義者で、たばこを嫌い、たまにビールを一本飲み、性生活は極めて慎ましい。

さて、皆さんはどの候補者を選びますか?ちなみに、この3人の候補は実在する歴史上の人物。Cの候補者がよさそうに思えますが・・・

ここで使われているのは「代表性」のトラップ
「代表性」とは典型的と思えるものを、判断の基準や答えちして転用すること。
しかしそこに認知のゆがみが発生するのだとか。

三人が誰なのかは本書でお確かめください。

★統計より感情

問20(小さな女の子の親として)
その子の友達の父親が家にピストルを一丁持っていることを知った時と、その子の友達の家の庭にプールがあるのを知った時では、どちらの方が安心していられますか?

さあ、どちらの方が安心していられますか?この問いはお国柄の違いもあるでしょうが、ピストルを持っているなんて知ったら日本人は間違いなくビビりますよね。

この問いは「利用可能性」というトラップが使われています。
「利用可能性」とはある事象が起きる確率や頻度を考える際に、最近の事例やかつての顕著な事例など「思い浮かびやすい」事例と特徴を思い出し、判断や評価の基準にしてしまうこと

この場合は感情で判断せず、水の事故の件数と銃の事件の犠牲者はどちらが多いかを冷静に考えれば・・・

★バーゲンセールのからくり
1万円の正札が赤線で消され7000円になっていた→お買い得だと思って衝動買い
ここには「アンカリング効果」というトラップが。

「アンカリング効果」船が錨(アンカー)を下すと、錨と船を結ぶとも綱の範囲しか動けなくなることからくる比喩で最初に印象に残った数字や言葉が、後の判断に影響を及ぼすことを言う。

最初の1万円の値段にはそもそも根拠があるのか?
特に販売の場ではこういった判断の基準を狂わすトラップが。
例えば、「本日限り」「女性半額」「先着10名様」などなど。
こういうの弱いんですよね。
ワタクシも引っかかってました。

★占いはどうした当たるのか

問26 (以下の文章を読んで、自分に当てはまるかどうか評価してください)
「あなたは他人には評価してもらいたいが、自分では自分に対しては手厳しい。性格にいくらか弱い面があるけれど、ほとんどの場合、それをカバーできる。力量はあるのに、思うように使えていない。見たところはしっかりしているが、実際は、細かいことに悩んだり優柔不断だったりする・・・・略」
以上の特質の中で、自分に当てはまるものはどれほどあると思いますか?0(何もない)から5(多数ある)までで評価してみてください。

評価の平均は幾つぐらいになると思います?
評価の平均は何と○.○○(←本書で確認)
こういった性格診断や占いといったものには、「バーナム効果」というトラップが使われています。

「バーナム効果」とは、誰にでも当てはまることがありそうな曖昧で一般的な性格に関する記述を、自分だけに当てはまるものとして受け止めること

よくよく考えると、占いって「当たり前やん!」って突っ込み入れたくなることばかり書かれています。
例えば朝のTVの占いを見てると、仕事運では
「先輩のアドバイスを良く聞くとうまくいく」とか、
恋愛運では
「まめな電話やメールが幸運のカギ」とか。
万人向けのあたり障りない、誰にでも当てはまるようなことばかり。

まぁ、それでモチベーションが上がるのなら、いいことだけ信じるのもいいかも。

◇全体の感想など
まずはこの本、非常にフォトリーダー泣かせの本です。
一つ一つの実験が面白く、読みながら自分でも考えてしまうため、読書スピードが上がりません。
正直に告白すると、何度読み返しても理解できない実験もちらほら。
しかも350ページ越えのかなりのボリューム。
読みごたえ十分です。

ワタクシは“行動経済学”の本は初めて読みました。
ですので、本書がこの分野の本として入門書的なものなのか一般書的レベルなのかは判断がしかねます。

しかし、本書に掲載されている“ネタ”はかなりベーシックなものからマニアックなものまで、かなり広範囲をカバーしているということは読んでいて感じました。(なんせ350ページ越え!)

しかも、それでいて、中には難しいものもあるものの、どのトピックスも私たちの生活の中で経験していそうな思考パターンに関するものを例に説明してくれているため、私のような初心者でも最後まで楽しんで読めてしまいます。

なんか心理テストの本を読んでいるような感じ。
このあたりは著者の力量を感じさせます。

◇行動経済学ってどうよ?
この本自体は非常に面白く、楽しんで読めたのですが、一つ疑問が。

それは「そもそも、行動経済学ってどうよ?」っていう疑問。(←この書きかたでは言いたいことが伝わらないですよね)

本のタイトルではありませんが、「経済は感情で動く」というのはバブル景気を見ていると「そうなんだろうな」という気がしてきます。

しかし、じゃあ現在のような深刻な不景気にたいして行動経済学でいったいどんな解決作が取れるのかと言えばちょっと疑問。
かといって「ケインズ理論」だの「公共投資だ!給付金だ!」というのもいかがなものか・・・

結局、経済学って何なんでしょう?となった場合、
まだ答えの見つかっていない発展途上の学問ということなんでしょうか。
神経経済学なんてものもあるやに聞きますし

(━_━)ゝウーム 奥深い

せっかくこの本読んだんで、これから何冊か行動経済学に関する本を読んでみようかと思います。

 

世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ

世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ

 

 

【本から学んだことを実践しよう】
今回は「アンカリング効果」でしょう。
「おっ!これはお得!安いやん!」と思ったときに「ちょっと待て!これってアンカリング効果とちゃう?」と一旦疑ってみましょう。

しかし買い物が楽しくなくなるかもしれません…ヽ( ´_つ`)ノ ?

【関連書籍】

 

経済は感情で動く : はじめての行動経済学

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予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

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人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く

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  • 作者:ティム ハーフォード
  • 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
  • 発売日: 2008/11/20
  • メディア: 単行本
 

 

【管理人の独り言】
個人的にツボだったのは「自信過剰」

 イタリアでは10人にうち9人の男性が、自分のペ○スの長さは平均を上回ると考えている

いかにもイタリア人らしいと言いますか、男はどこの国でもいっしょと言いますか・・・(笑)

【お知らせ】
勝間和代さんの新刊が出るようです

 

断る力 (文春新書)

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  • 作者:勝間 和代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/02/19
  • メディア: 新書
 

 

 

またまた300ページ越え!

【追記】
αブロガーさんの記事
404 Blog Not Found 感情の落とし穴の底で読みたい一冊 – 書評 – 世界は感情で動く

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