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“走り続けるカメ”になる!【書評】児玉 光雄(著)『継続する力』(幻冬舎)

 

継続する力

継続する力

  • 作者:児玉 光雄
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: 単行本
 

 

カメがウサギに勝つ方法。
それは“ゴールまであきらめずに歩き続ける”ことただ一つ。

そして“継続する力”“歩き続けるカメ”を、やがて“走り続けるウサギ”に変身させる“力”なのです。

 

【目次】

序章 言葉から読み解く トム・ワトソンの継続する力
 夢をかなえるまでチャレンジし続けよう
 私たちは多くの人たちによって支えられている     他

第一章 言葉から読み解く イチローの継続する力
 人生を通してモチベーションを上げる要素を探し続けよう
 ときには過去のデータをすべて消し去って目の前の仕事にのめり込もう     他

第二章 言葉から読み解く 金本知憲の継続する力
 当たり前のことを毎日最高のコンディションで持続させよう
 あなたの仕事のファンを意識しながら全力を尽くそう     他

第三章 言葉から読み解く 工藤公康の継続する力
 自分が限界を感じるまで努力を積み重ねよう
 環境に適応できる順応性を身につけよう     他

第四章 言葉から読み解く 青木功の継続する力
 好奇心を抱いてあなたの仕事の井戸を深く掘り進もう
 目標や夢に向かって継続する力を育てよう     他

【ポイント&レバレッジメモ】
★トム・ワトソン

 成功の確率を倍にしたければ、失敗の数も倍にすることだ。
(人生を振り返って成功する秘訣について語った言葉)

もしもあなたが成功にたどり着けないなら、努力の量が不足しているのでも、能力が欠如しているわけでもない。失敗する数が決定的に不足しているのだ。つまりワトソンがこの言葉で表現しているように、失敗の数と成功到達確率は比例するのだ。
失敗した時「また失敗した。これで夢に一歩近づいた」とつぶやいてみよう。

★イチロー

 「分かんない。本当に(自分自身を)超えているかどうか、分かんない。数字が超えたからといって、2年前の僕を今の僕が超えているかどうか分からない」 
(自己新の”試合連続安打の記録を樹立した後のインタビューで語った言葉)

まず比較評価することを潔く捨てて、徹底して絶対評価することを宣言しよう。その上で、自分が設定したゴールに到達することよりも、ゴールに向かって最善を尽くす行為そのものに生きがいを見出そう。

 「もし負けたらオレたちはどうなるかわからない、という気持ちを持ってみんなで戦っていたのに、自分が何度も流れを止めてしまった。そんなときは監督と目が合うだけで心が痛みました。でも僕が救われたのは、みんなが支え続けてくれたことでした」
(第2回WBCのヒットを打てない試合のことを振り返って語った言葉)

率直に周囲への気配りや、感謝の気持ちを表そう。そうすれば黙っていても周囲の協力を独得して、あなたは難しい仕事も簡単にやってのけることができるようになる。

 「苦しいところからはじまって、苦しいが辛いになって、心が痛んで、最終的に笑顔になった」
(第2回WBC決勝の対韓国戦で決勝打を放って優勝に導いたことを振り返って語った言葉)

逆風が自分に吹いている時、「こんな辛い状況には我慢できない」と言って、パニックに陥ってしまい、その状況を投げ出してしまうか……。あるいは、イチローのように、「辛い状況だけど平常心を維持してベストを尽くそう」と考えられるか。この違いはあまりにも大きい。 
⇒ 順風満帆は何か物足りない。一方、逆風の中でピンチの状態を楽しむことこそ人生の醍醐味。

 「いま小さなことを多く重ねることが、とんでもないところにいくただ一つの道なんだというふうに感じてますし。激アシでしたね、今日は」
(シスラーのシーズン通算257安打の記録を抜いた試合後のインタビューで語った言葉)

この世の中で、突然偉大な仕事をすることなどまったく不可能である。なぜなら偉大な仕事は、大抵小さな作業の稲み重ねによって成り立っているからだ。 ⇒ 目の前の仕事を黙々と継続させよう。これこそ一流になるための唯一、かつ、最も確実な方法なのである。

 「いつも人と違うことをしたい。人と同じ方向は見ない。人が変わるなら僕は変わらない。人が変わらないなら僕は変わる」
(「普段から心掛けていること」について触れた言葉)

他人と同じことをしていては、絶対に頭角を現せない。考えてみれば人間というのは、「変化を嫌う動物」である。放っておくと、私たちは、日々のルーティンワークに埋没してしまい、新しい冒険をしなくなってしまう。新しい発想や斬新な行動を日々生み出していかねば、この過酷なビジネス社会では、到底生き残れない。常識を破壊して、日々変化する意識を心の中に育てることがあなたを成長させてくれる。

★金本知憲

 「歳だから痛いのだ」と思ってしまえば、「もういいや」とあきらめてしまう。フルイニング出場は、“元気であることの象徴“だ。「だったら、できるうちはやってみよう」と気持ちを切り替える。それに、不思議なもので、這うようにしてでもなんとか球場まで行って、ユニフォームに袖をとおせば、「よし、今日もやってやる」と思えるのだ。
(普段から心掛けていることについて語った言葉)

人生は今日しかない。昨日はすでに終わってしまったもの。そんなことへの感慨に浸っている暇などはない。そして、明日はまだ来ていないもの・明日のことは明日考えればよい。
ならば朝起きた時、「今日も仕事でベストを尽くそう」と自分に言い聞かせて、ベッドから勢いよく飛び出そう。 ⇒ 行動こそが夢をかなえてくれる

 弱音や言い訳は心の中で言っています。心の中で言い訳ばかりしています。ただし言い訳すると、負け犬みたいでカッコ良くないんで口には出しません。
(自分の本音についての言葉)

くよくよ悩むことは悪くはない。なぜなら、くよくよ悩まないで気分転換するだけの人間は、すぐに停滞してしまうからだ。
スランプになったら、その事実を真正面から受け止めて、くよくよ悩めばよい。それがスランプを脱出する打開策となる。そして、その打開策を果敢に実行することが、その人間を成長させてくれる。
⇒ 自分のハンディや、欠点を強く意識して、それを補う新しい習慣を始めよう。

 4番を打つというのは正直に言って、キッいと思うところもあります。ここ何年かは、とくにね。いい場面で打てば「さすが4番」と言ってもらえるんですけど、打てなかったら「なんで4番のクセに打たんのや」って思う人もいるでしょうし。複雑ですね。
(「自分が4番を打つこと」についての感想)

プレッシャーを抱えて、仕事をすることが快感になったら一人前。プレッシャーのかからない仕事なんて、たいした仕事ではない。 ⇒ 平然とした表情で仕事に没頭するブリをする。

★工藤公康

 自分は弱い。まだまだやるべきことをやっていない。強くなるためには、他人の何倍も練習しなければならないんだ。血反吐をはくまで練習するくらいでないと、一流にはなれないんだ……。むかしながらの根性論が正しいとはまったく思っていませんが、そのことは絶対に忘れてはいけないと思っています。
(野球への取り組みについて語った言葉)

あえて楽しみを犠牲にしてでも、仕事を優先させよう。もちろん、ときには趣味に興じるのも、気分転換には必要だ。しかし、結局仕事にのめり込むことを最優先した人間だけが、成功できるようにこの世の中はできている。 ⇒ 何かを犠牲にして努力を一つに絞り込む

 ほんとうに「チームのため」を考えているのならば、自分がラクをすることがどれほどチームにとってマイナスになるのかを、しっかりと認識していなければならないのです。もちろん、それが自惚れにならないためには、それだけの実力を身につけて、チームにおける自分の存在意義を自他ともに高めていかなければなりません。
(チームへ貢献するための心構えについて)

チャンピオンと並のアスリートを隔てているのは、才能の違いではない。自分の才能に対する捉え方が決定的に違うのである。チャンピオンは、自分の才能を過大評価しており、並のアスリートはそれを過少評価している。 ⇒ 人間は、自信過剰くらいでちょうどいい。大体チャンピオンと言われる人間は、いい意味での自信過剰の連中なのである。

 気づかないことは致命的なのです。せっかく潜在能力がありながら、大切なことに気づかないために、みずから道を閉ざしてしまう。ほんとうに残念です。でもこれが、その人間の未来を分ける残酷な境界線なのです。
(野球選手として成功する秘訣についてふれて)

画一的学習は楽である。しかし、残念ながらこの学習法では、本人の「気づき」を封じ込めてしまう。だから独創性が育たない。とにかく独創性溢れるメニューを作成して、得意技を極めることに全精力を傾注しよう。 ⇒ 他人はあなたを救済できない 

 現役?やれるんだったら一生やりたい。個人の思いじゃできないけどね。少しでも若い人の負担が減るように、自分がつぶれるまで頑張りたい。
(「いつまで現役でいられるか?」についてふれて)

プロフェッショナルなら、引退の日がくるまで、けっして言い訳をせずに、自分を極限
まで追い込んでみよう。それだけでなく、「歳を取れば取るほど成長していける」とつぶやいて、工藤のように最善の努力を日々積み重ねよう。
そうすれば、いままで気づかなかった才能にめぐり会うことができる。

★青木功

 体で覚えたものは直観で合わせられる。しかし、理論で覚えたものは直観では合わせられない。自分のイメージと結果が一致したものが理想である。
(体で覚え込むことの大切さにふれて)

なんとしても自分の本能と対話しながら、目の前の仕事を進めよう。理屈ではなく、あなたの直観に頼ることにより、やがて独創的な仕事ができるようになる。あえて、自分の本能や感性に頼って、仕事を進める勇気があなたを偉大な仕事人に変えてくれる。

【感想など】
昔、ワタクシが『思考は現実化する』を読んでガツンとやられ、“成功本”と呼ばれるジャンルの本のを読み漁り始めたころのことです。

とある成功本にこんなことが書いてありました。

 成功する秘訣は、成功するまであきらめないこと。続けること。

これを初めて読んだ時、若かったワタクシは「そんなことあたりまえやん!」と笑った記憶がありますが、後々この言葉の重みというものがわかってきました。

この「あきらめないで続ける」ということがどれほど肉体的にも精神的にも大変なことかということが。

世の中のほとんどの人が「成功するまで続ける」ことができない。
だからこそ成功者はほんの一握りしかいないのです。

では、どうやって肉体的にも精神的にもモチベーションを維持し、目標に向かっての努力を“継続”すればいいのか。

本書ではトム・ワトソン、イチロー、金本知憲、工藤公康、青木功の5人の際立った成果を出し続ける超一流アスリートの言葉にその答えを求めようとした本です。

で、先におことわりを。

今回はこの5人のアスリートのことばの中でも、特に気になった言葉とその解説を抜き書きさせていただきましたが、ワタクシ、ゴルフに全く興味がなく(多分ワタクシはゴルフをすることは一生ありません)、選手をよく知らないうえに、トム・ワトソンと青木功さんは世代もかなり上なので少々少なめの引用となってしまいました。

ゴルフファンの方、申し訳ありません。 

その代わりと言っては何ですが、イチロー、金本、工藤の言葉を多く引用してしまいました。

この3人のアスリート。微妙に世代の違います。

少しこの3人を世代的に比較してみますと、工藤が1963年生まれで81年に西武に入団。金本は1968年生まれで1991年に広島に入団。そしてイチローは1973年生まれで1991年にオリックスに入団。

工藤は完全にバブル到来の前にプロ入りした世代。
バブル期は西武の黄金期で、東尾トンビ師匠のもと、清原や渡辺といった若手とお茶らけていたシーンがよくスポーツニュースに映し出されていたものです。

兄貴こと金本は学生時代にバブル時代を過ごし、またイチローは歳は違うけど金本と同期で、この二人が世に出始めたのがともに94年ごろ。ただ、世間一般的にはイチローは超氷河期世代にあたります。

さて、まず興味を持ったのは、世代の差が考え方の違いに現れていないかという点。

本書を読んでわかったのは、世代の違いに関係なく3人の野球に対する考え方はほとんど同じということ。

とにかく謙虚ハングリー。そして“さらに上の自分と出会いたい”という強烈な最上思考
5年先、10年先の自分を考えた上での練習。
野球のためにすべてを犠牲にするストイックさ。

ワタクシたちは彼らの華やかな一面を知るだけで、その裏でどれほどの努力が継続されているのか知らなすぎると思います。

この高い、継続されたモチベーションはどこから湧いてくるのでしょう。

よく、「あれぐらい給料もらえたらそりゃ頑張るわ!」というサラリーマンがいます。
これ本当でしょうか?

たとえばイチローは契約内容からいうと月給は約2億円

サラリーマンの生涯賃金を1カ月で稼ぎます。

もしワタクシがこれだけの給料をもらったらやる気満々で仕事を継続するかなと考えた場合。
多分1年でやめますよ。

天才イチローですら胃潰瘍になる世界ですものね。
そんなプレッシャーの中、並はずれた努力と結果を求め続けられるのは、もって1年、いや1か月で逃げ出すかな。

お金じゃないですよ。
“強烈な最上思考”という内的動機がベースなのです。

シーズンを通してイチローがバットを振った回数で年俸を割り算して、「イチローはバット一振り○○○万円」などという人は、そのひと振りのために練習で何万回バットを振ったのか、そちらに思いを馳せてみてください。

私たちとは違うレベルの世界の話とはいえ、このアスリートたちの言葉には“成功のカギ”がたくさん隠されています。
そして、レベルや世界が違っても成功をつかみ、それの状態を維持する方法はシンプルで、どの世界も共通だと思います。

アスリートたちが教えてくれる“成功法則”
一読の価値あり。

 

継続する力

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