おはようございます、一龍です。
今日ご紹介するのは、当ブログでもおなじみの小宮一慶さんの新刊にして、記念すべき100冊目の著書。
日本のすべての社長さんに読んでほしい、社長論、社長業の教科書です!
はじめに
著者の小宮さんは経営コンサルタントとして数多くの会社を見、社長さんたちとお付き合いしてきたかた。
当然その中にはうまくいっている会社、伸びている会社もあれば、「これはダメだ」という会社、そして社長さんもあるわけで、その経験から「社長論」をまとめたのが本書です。
社長業虎の巻とも言える本書。
まずは社長でもない私が、「社長(会社)はこうあってほしいよな」という観点から、本書で気に入った「社長の心得」をピックアップしてみました。
「社長(会社)はこうあってほしいよな」的なポイント
★会社が働く人に与える事ができる幸せの第一は、働くことそのものから得られる幸せである。
働くことそのものに喜びや感謝の気持ちを持ち、仕事を通じて「自己実現」をする幸せを、会社は社員に感じてもらうことです。そのためには正しい経営を行わなければなりません。
そして、そのような会社は繁栄しますから、社員にも適正な配分を行えば。経済的幸せを感じてもらえるのです。
★社員のモチベーションアップに努めるより、働きがいを高めれば、人はもうやめておけというほど働く。
働きがいを見つけると、会社はディズニーランドと同じように楽しいのです。
そのためには、モチベーションアップを図るより、あなたと社員の仕事観を見直し、働きがいを高めることから始める必要があります。仕事で社会に貢献し、「自己実現(なれる最高の自分になること)」の楽しさを知ってもらうのです。
★会社が社員に求めるのは、社員の「時間」ではなく、「貢献」であることを社員にきちんと伝えなければならない。
自分の給料のお金がお客さまへの貢献や工夫から生まれてきているのだということが分かっていない人は意外に多いものです。
自分にはどのように、給料に見合う貢献をしていくのかを、一人ひとりの従業員が考えていくように促さなければいけません。
★「管理」と「規律」は違う。「規律の中の自由」が正しい社風である。
管理とは人の行動を規制することです。この管理で、まともに働いている社員までもがやる気をなくします。その結果、全員が言われたことしかやらなくなります。
こういうことが起こる最大の原因は社内に規律がないからです。規律とは意識の統一です。社長が指揮官先頭で規律を守り、守らせようとしないからです。<中略>
良い会社にするためには、規律は必要です。そのなかで、社員がある程度自由に自己裁量で行えるようにするのです。そこでは、数字が目的ではなく、良い仕事をしているかどうかを検証するものとなっています。
★社長は常に、「理念」と「現場」と「夢」を語れ。
理念とは、そもそもの会社の存在意義です。目的です。ビジョンとミッションと言ってもいいでしょう。<中略>
現場とは、お客さまとの接点や製品がつくられる場所です。事務の現場もあります。<中略>
夢とは、会社の目標と個人の目標とが重なるところです。社長の夢と社員の夢が大きく重なり合うとき、会社は大きく成長します。
★リーダーシップとは、理屈ではなく、「覚悟」である。
最初に、行動規範を守らなければいけないのは、社長自身です。
リーダーシップとは理屈ではなく、先頭に立って行動する「覚悟」なのです。
★指揮官先頭。教え、指示するのではなく、先頭に立って行うのが、リーダーである。
社長とは会社のリーダーです。当たり前のことをここであえて言うのは、口ではリーダーだと言いながら、「ティーチャー」をしている人が多いからです。<中略>
掃除のしかたを教えたり、サボる人を評価するのは、ティーチャーの仕事。リーダーは皆を励ましながら、自分の背中を見せて、率先して行うのです。
感想
◆社長は先頭に立ち、夢を語れ
この記事を書きながら気がついたのですが、自分がピックアップしたポイントを読みなおすと、私が社長に求めるものが見えてきますね。
もちろんこれは私からの社長(会社)への要望ですので、本書を読まれたとき心に引っかかる部分は人それぞれでしょうし、ましてや本書の読者のうち圧倒的多数を占めるであろう人は社長さんですから、私のようなペーペーとはまた違った景色を本書に見ることでしょう。
ただ、その時にちょっと「一龍はこの部分にこだわっていたなぁ」なんて思い出していただけたら幸いです。
私が本書で「社長にはこうあってほしい」と強く思った点は2点。
「先頭に立ってほしい」ということと、「夢を語ってほしい」という点でした。
会社の規模や業種にもよると思いますが、上記の2点は社長さんたちにぜひ頑張って実践してもらいたい。
なぜなら、そのあるなしがブラックか非ブラックかの大きな決定要因と感じるからです。
◆ブラックと非ブラックの境界とは?
長い不況で、どの職種でも少ない人員で多くの仕事をこなすようになっています。
世間では「ブラック企業」と言う言葉がよく使われますが、非ブラック企業だってすごい量の仕事をこなしていますよね。
実際にはブラック企業と非ブラック企業で、仕事量や労働時間、ノルマにそれほど差はないんじゃないかと思います。
では、その違いは何か?
結局のところ、仕事のやりがいとか、達成感とか、自己実現といった「自分は会社を通して世の中に役に立っている」「会社に貢献できている」「自分が成長できている」さらに言えば、「自分が認められている」といった自覚があるかないかではないでしょうか。
そして、これらを社員に自覚させられるかどうかが社長の腕の見せ所だと思うのです。
そのために「夢」を語り、共有してほしい。
そして、常に先頭に立って背中を見せることで、「夢」の実現のために進むべき方向、やるべきことを行動で示してほしい。
社長室で沈思黙考して戦略を練ることも社長の重要な仕事です。
ですが、それ以上に時間をかけて社員に「夢」を語り、行動を示してほしい。
そうでないと、どんなに「俺はフレンドリーな社長だ」と思っていても、社員にとって社長というのはやはり遠い存在、壁で隔たれた存在なのです。
どんなに会社が大きくなっても、現場で社員とともにあるという姿を見せてほしいですね。
◆反面教師(教科書)としてもどうぞ!
そういった意味で、反面教師(教科書)的に参考になる心得も多数掲載されています。
要するに「これはやっちゃダメですよ」といったタブー集としても本書は面白い!
いくつかピックアップすると
会社を潰す社長は、習うより教える側、聞くより話す側、自分を変えるより相手を変える側にたとうとする。
とか
常に「For the company」で行動せよ。社長が公私混同をやめれば、会社は強くなる。
耳の痛い社長さんいませんか?
そして、特に私が「そうそう!」と納得したのがこちら。
明るく、元気で、大雑把で、見栄っ張りな社長が会社を潰す。
いるよ、いますよ、私の知り合いでもこういう人。
会社のお金でベンツ買ってる社長さん。
良い会社、伸びている会社の社長さんに共通するのは「謙虚」だそうです。
世の中にすべての社長さんへ、ぜひ「謙虚」な姿勢で本書を読み、名社長を目指してください。
本書はDiscover21社様より献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
序章 良い会社とは何か? 社長の仕事とは何か?
第1章 社長と社員の基礎力を高める
第2章 社長が持つべき仕事観
第3章 社長が知っておくべき人材育成の要諦
第4章 社長としての人物力
関連書籍
同著者の既刊本
私の本に丁寧な書評を有難うございます。
この本は私の社長に対する考え方のエッセンスです。ディスカヴァーの干場社長がさすがと思える編集をしてくれました。
これからもよろしくお願いします。
小宮様、コメントありがとうございます。
社長論の本ですが、私のようなペーペーには小宮さんの労働観が伝わってきて、働くことの意義を考えさせられる内容でした。
よい御本をありがとうございました。