おはようございます、一龍です。
自分の言いたいことがどうも伝わらない、あるいは相手の考えが理解できないということありませんか?
今日ご紹介するのは 『出口汪の論理的に考える力が身につく本』 から、そんな方に知ってほしい論理的に考える3つのポイントです。
この3つを意識するだけで、あなたの伝える力と理解する力は飛躍的に伸びるはずです。
論理的思考法の3つのポイント
★論理の基本ルール1 「イコールの関係」
論理的思考法の基本その1は「イコールの関係」です。
たとえば、「僕」「僕の息子」「ゆいちゃんのお父さん」、この3人は「男」という言葉でひとくくりにできる。言い方を変えれば、3人の共通点を抜き取ると「男」になるわけだ。これは、論理的な用語でいうと、「抽象化」になる。3人の具体的な人間から「男」という一般的な概念を生み出したことになる。
逆に、「男」という一般概念から、さっきの3人を引き出せば、それは「具体化」になるわけだ。
上記は、「イコールの関係」で「抽象化」と「具体化」を表現している例ですが、これって、
具体的なものから一般的なものを求めることを、「帰納法」、一般から具体を求める思考法を「演繹法」という
のことですよね。
「帰納法」とか「演繹法」と言った言葉を聞くと難しそうに思いますが、これらは「イコールの関係」のベクトルの向きが変わっただけなのです。
この「イコールの関係」は、論文からエッセイ、コラムに至るまで様々な文章で頻繁に出てくるもので、これを見抜くことができれば、文章はずっと理解しやすくなるし、説得力のある文章を書くこともできると著者はいいます。
例えば論文やレポートなどでは、自分の考えと同じ文章を引用したり、具体的な事例を上げたりすることがよくありますが、これらはすべて「イコールの関係」なのです。
企画書で、自分の意見を述べて、それから自社や他社の似たような事例をあげたりすることがあるだろう?それも「イコールの関係」。
★論理の基本ルール2 「対立関係」
論理的思考の基本その2は「対立関係」です。
「対立関係」も文章ではよく使われる。企画書ではしばしば出てくるんじゃないかな。自分か立案した企画が優れていることを立証するために、過去の事例との違いを指摘する「差別化」というやり方は、企画書ではよく使われる。これも「対立関係」といっていい。
対立するものをあげることで自分の考えを際立たせるという方法ですね。
論文やレポートなどでも同じ手法で、著者の考えを明確にしているのをよく見かけます。
説得力を増すために使いたい手法です。
★論理の基本ルール3 「理由づけ・因果関係」
論理的思考の基本その3は「理由づけ」と「因果関係」です。
文章を書くときには、主張をしたら、証拠として具体例をあげる。それがさっきの「イコールの関係」だ。そして、具体例がなぜ証拠となるのか、あるいは具体例からなぜ著者の主張が導き出されるのか、それを「理由づけ」することで、主張は説得力を増すことになるんだ。
そして著者は文章の構成がわかれば、どれが主張か、具体例か、理由づけかはすんなりと見えてくるといいます。
理由づけのある文章は、著者の主張が語られ、それから具体例があげられて、そのあとに理由づけがされる、という構成になっている。だから、それを頭に入れて読んでいけば、そんなに難しいことはないんはずだよ。
この理由づけのある文章は、企画書や会議で提案するときにも有効だとのこと。
「自分の主張」→「具体例の提示」→「理由づけ」
この流れは聞いている人の理解も促します。
もう一つ、同じように論理をよりしっかりとさせる方法に「因果関係」があります。
これは
「理由づけ」が「A←(なぜなら)B」という形なのに対して、「因果関係」は「A→(だから)B」という形
これは「理由づけ」とはベクトルの向きが逆なだけ。
言い換えると、「理由づけ」は、まず主張があって、そのあとに具体例がきて、最後に理由づけが置かれる。「因果関係」は、最初に具体例があげられ、そこから考えられる共通性が導き出される。前に話した「抽象化・一般化」と同じだね。「だからこうした結論が導き出されます」という具合に、最後に主張を持ってくる。
「理由づけ」にしても「因果関係」にしても、どれが意見か、証拠か、「理由づけ」かがすぐに分かる話し方は相手に伝わるのです。
感想とまとめ
◆相手の立場で考えるのが基礎
論理的思考法というと難しく感じますが、本書を読んで感じたのは、論理的思考法というのはコミュニケーションのテクニックでもあるということでした。
私たちは自分の言いたいことがなかなか伝わらなかったり、相手の考えていることが理解できなかったりというコミュニケーション力の不足をしばしば感じますよね。
そしてそれが原因でストレスを感じることがあります。
職場のストレスのゲインの多くが人間関係に起因するものですが、そのさらに原因をたどるとコミュニケーションの齟齬に行き着くのではないでしょうか。
著者が
「根本のところではわかり合えない」他者とコミュニケーションし、自分の意見を理解させるには「論理力」が不可欠。
というように、「理論力」を高めることができれば、自分の言いたいことを理解してもらえると同時に、相手の考えていることが理解でき瑠葉になるのではないかと思います(相手の論理力も問題になってきますが)。
また、特に、論文から新聞、小説に至るまで、文書を読解する場面において上記の3つのポイントを意識するだけで、理解力は確実に上がるのではないでしょうか。
そして読むスピードもアップするはずです。
というのも先述した
「自分の主張」→「具体例の提示」→「理由づけ」
この文章の流れ、実はビジネス書はたくさん読んでいくとこのパターンの連続であることがわかります。
それで、慣れてくると「具体例」を飛ばして読んだりできるようになります。
小説ではこのテクニックを使うのは難しいのですが(味わうものですからね)、ビジネス書をもっとたくさん早く読みたいと思っている方は、この流れを意識して読むことで自然と飛ばし読みができるようになります。
お試しあれ。
最後に本書で印象的だったのが、
人間は基本的に主観でしかものを捉えることができない
というものでした。
だからこそ、相手の立場になって考える、この人はどう感じているのかを想像する、いわゆる”慮る”ということが重要になってくる。
この姿勢が論理的思考法の基本の基本。
いわば基礎の部分であるということを念頭に入れておきたいですね。
◆まとめ
・論理の基本は「イコールの関係」
・差別化を出したいなら「対立関係」
・説得力を出したいなら「理由づけ・因果関係」
本書はSBクリエイティブ社様から献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
1限目 「自分の頭で考える」って、どんなこと?
2限目 すぐに身につく!論理的思考3つのルール
3限目 1日5分!新聞を読むだけで思考力を磨く
4限目 説得力が増す!ロジカルな話し方3つのコツ
5限目 頭の回転数を上げる論理的に「書く」トレーニング
6限目 知識が定着する!頭のいい人の「記憶術」
7限目 アイデアが湧く!考える力を「創造力」につなげる法
関連書籍
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