おはようございます、一龍です。
社会人にとって一番手軽で身近な勉強方法は読書でしょう。
しかし、読書の効用は知っていても、忙しい毎日のなかで本を読む時間が取れないというビジネスパーソンも多いと思います。
そんな方に今日は堀紘一氏の『自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる! 』 から、堀式読書術をご紹介します。
社会人として仕事をこなしつつ、教養と人間を磨くための年間100冊の読書を達成する方法をお読みください。
年間100冊を読む堀式読書術のポイント
★若い世代は年100冊、それ以外の人は年50冊を目標に
まずは目標設定。
社会人はどれくらいの量を読書すればいいのか、堀紘一氏は年代によって違いますが次のように最低ラインを設定しています。
学生と30歳までの若いビジネスパーソンに関しては、年間100冊は読まなくてはならないと思う。
30代になると仕事も忙しくなる。年100冊読もうと思うとちょっと努力が要るが、年50冊ならいけるだろう。
年間100冊ということは1週間に2冊くらいのペース。
読書習慣のない人にはこれはかなり速いペースと思われるかもしれません。
しかしどんなスキルも同じで、読書も読めば読むほどスピードが上がってきます。
特別な速読技術など身につけなくても、一冊を2時間以内で読めるようになるのにはそれほど時間はかからないと思います。
★細切れの時間を活用
2時間も読書のためにまとまった時間を確保できないという方もいるでしょう。
細切れ時間を活用すれば意外と時間は確保できるものです。
著者は細切れ時間を読書に活用ています。
細切れの時間で、本はいくらでも読める。実際、私はいまでも年100冊以上の本を読んでいるが、読書の大半は細切れの時間にしている。
私はどこへいくにも、カバンのなかに2、3冊の本を忍ばせている。そして移動中、細切れの時間を見つけては本を読んでいる。起床後、就寝前、移動中、打ち合わせが始まるまでのちょっとした時間・・・。1日のなかで本が読めないタイミングを探すのが難しいくらいだ。
そういう半端な時間をつなぎ合わせるだけで、読書のための時間をまとめて設けなくても1日20ページくらいは読めてしまう。
あとは週末に少し時間を見つけて本を開くクセをつけておけば、週1冊はラクに読めるから、年50冊の読破なんていとも簡単なのである。
通勤途中や仕事の休憩時間にスマホをなんとなくいじっていませんか?
あるいは自宅で目的もなくテレビを見ていることありますよね。
その時間に本を手に取るようにするだけで想像以上に読書時間は生まれると思います。
ただ、細切れ時間を活用して読書をするためにはちょっとした工夫が必要です。
著者はカバンのなかに常に2,3冊本を忍ばせているとのことですが、要するにいつでもどこでも思い立った瞬間本にアクセスできる状態を作り出しておく必要があります。
僭越ですが僕の読書術も良ければ参考にしてください。
また、電子書籍をうまく使いこなせば、本へのアクセスは更に良くなります。
堀紘一氏は品揃えが悪いとかリーダーが重いといった理由から、本書ではあまり電子書籍をすすめていません。
しかし、僕ば思うに堀紘一氏は電子書籍リーダーをあまり使っていないのではないかと。
もうすでに、読書習慣のない方にとっては十分すぎるほどラインナップは充実してきているし、紙の本を数冊持ち歩くよりもリーダーのほうが遥かに軽いです。
また、紙の本を取り出してページを開くよりもリーダーで読書を再開するまでの時間のほうが短いです。
この点に関しては僕は積極的に電子書籍を活用することをオススメします。
電子書籍リーダーならジップロックにいれて、お風呂でも濡れることを気にせず本を読めますしね。
★「4:3:3の法則」で読書する
では次にどんなジャンルの本をどれくらいの割合で読むかです。
著者は「4:3:3の法則」を推奨しています。
仮にビジネスパーソンの読書を前提にすると、私は「4:3:3」というバランスがよいと思っている。つまり「ビジネス書40%、小説30%、その他30%」ということである。
ビジネスパーソンにとってビジネス書が40%という割合は少なく感じると思いますが、著者は
自慢話とサル知恵が詰まったハウトゥー本はいくら読んでも百害あって一利なし。
とバッサリ。
「教養を磨くための読書とは一線を画す」としています。
著者のいうところのビジネス書とは
私のいうビジネス書とは、経済、経営、マーケティングといった各分野の専門家たちが書いた本のことだ。
月に2,3冊骨太なビジネス書を読むペースです。
そして残り60%のうち30%は小説をすすめています。
これについて
読書には気分転換の効用もあるから、肩の力を抜いて読める小説も読むべきなのだ。
そうはいっても、小説は単なる気分転換の道具ではない。再三触れているように小説を読むと語彙やいいまわしが広がる。それがコミュニケーション力やストーリー構築力といった表現力の向上につながってくる。
としています。
その他、生物学、歴史、軍事学、哲学などが30%。
ですので、小説とそれ以外のジャンルのものが一月にそれぞれ1,2冊といったペースです。
★ときには我慢することも大切
100ページくらい我慢して読み進めていくと、いつの間にかクリティカルマスを超え、そこから先は霧が突然晴れたように内容がわかるようになってくる。だから、少し難しいと感じたからといって放り出すことなく、なれるまで丁寧に読み続けることが大切になってくる。
それでも難しいと思ったら、いったん本を閉じて、同じ著者が書いたいちばん易しいレベルの本を読んでみる。それである程度、著者の思考に慣れてきたら、また戻って読んでみるとそのあとは面白いように頭に入ってくるだろう。新書などの一般向けの解説本を読んでから、再チャレンジするという手もある。
この「新書などの一般向けの解説本を読んでから再チャレンジ」というのはいい方法だと思います。
ビジネス書や哲学など、かなり専門的でなおかつその分野で重要視されているいわゆる”名著”には、ほとんどの場合、一般向けの解説書や入門書、あるいはエッセンスだけを抽出してくれている”まとめ本”などが存在します。
原著にあたるというのは勉強するうえで非常に大切ですが、いきなり読むには難しいと感じたら解説書から読むのはありだと思います。
たとえば最近だとピケティ先生の
がベストセラーになったのが記憶に新しいですが、僕も読もうと思って本屋で手にとって見たものの、そのボリュームと中身の高度さに「これはダメだ」とあきらめました。
そのかわり解説書を2冊読んで、とりあえず内容をおさえることはしました。
その後、「もうこれで十分」だと思って、『21世紀の資本』は結局読まずじまいとなってしまいましたが、おそらくポイントを知った今読めば、あのページ数に圧倒されることもなく、楽に読み進められるはずです。
最近は漫画でポイントを紹介するビジネス書も増えていますので、そういったものを利用するのもいいと思います。
★ダメだと思ったら捨てる勇気を持つ
上記の「ときには我慢することも大切」と矛盾するのですが、著者は「捨てる勇気」も大事だと言っています。
これは文庫本や新書本に限った話ではないけれど、50ページほど読んでみて「つまらない」とか「オレの役には立たない」と思ったら、そこで読むのを止めて処分した方がいい。
完全に矛盾していますよね(笑)。
しかし、50ページほど読んでみても、つまらない、役に立たないと思いつつ、せっかく買ったのだからと読み進めるのは人生の損出である。さっさと処分して、気持ちを切り替えて次の本を読んだほうが得るところは多い。
僕は「役に立たない本」というのは世の中にほとんどないと思っていて、レベルの高低はあっても、なにか学ぶ点はあると思い、そこを探して本を読んでいます。
ですが、「役に立たない」ではなく、「そこまでは必要ないよな」という分野は誰にでもあるでしょう。
たとえば上記のピケティ先生の本が自分にとってのそれでした。
経済学の専門家でもなく、仕事で経済の専門的な知識も必要としない自分が、この本を読むために必要な時間に対して、得られる知識は価値が有るのかどうか。
それを考えた時に、内容を知りたいだけなら解説書で十分ではないかという結論に至りました。
「つまらない」と感じても、もう少し我慢して読んだほうがいいと思います。
ですが、「必要ない」と感じたら即時撤退して他の本を読んだほうがいいでしょう。
★コミックは読書のうちに含めない
コミックやアニメは日本が誇る「クール・ジャパン」のキラーコンテンツなのだそうだが、コミックは純粋に楽しみのために読むものであり、教養を磨いて一流人となるのに役立ったり、表現力を高める語彙やいいまわしのレベルアップにつながったりしないと私は考える。
この意見には異論を唱える人も多いことでしょう。
たしかに最近のマンガには、かなり深いテーマを扱ったものもあり、一概にマンガ=低俗な読み物とは思えません。
しかし、マンガは絵で伝える部分が多いため、その分文章による表現は小説に比べるとどうしても稚拙になってしまいますし、情報量は圧倒的に少ないです。
あくまで息抜きとか気分転換とか、エンターテイメントとして読むという意識で付き合ッタ方がいいと思います。
また、人間はどうしても易きに流れるもの。
マンガは年間読書目標数にはカウントしないという決意を持っていないと、目標達成のためにせっせとマンガを読んでしまうことになりかねません。
僕らの世代は子供の頃、先生に「マンガは本ではありません」と言われ続けましたが、その気概は社会人としてもっておいてしかるべきだと思います。
★メンターの推薦本はオーダーメイド
さて最後に本選びについてです。
一日に200冊の新刊が出る出版大国日本では、本が多すぎてどれを読むかという選書も一苦労。
貴重な読書時間を駄作に取られたくないですよね。
一番いいのは職場で尊敬できる先輩や上司にどんな本を読むといいか聞いて、オススメしてくれた本を読むことです。
こういった人達を著者は「読書のメンター」と呼んでいます。
しかし、これは僕の実感ですが、日本人のほとんどが年間10冊も本を読んでいない現状、身近に「読書のメンター」を見つけ出すことは非常に難しいです。
僕の職場では「この人読書家だな」「本に詳しいな」という人はいません。
はっきりいいます、一人もいません。
もう20数年働いていますが、これまで同じ職場で読書家だなと思えた人と出会ったのは2、3人です。
こういう職場の現状はどこも似たり寄ったりではないでしょうか。
そこでオススメなのがSNSで仲間と繋がること。
読書をしたら、その感想を積極的に発信してみよう。いまはフェイスブックやツイッターのようにいくらでも個人で自由に発信できるメディアがある。
リアルな人間関係がドライになっているからこそ、同じ趣味の仲間とのバーチャルなつながりを求めているから、そうしたメディアを通して同じ読書好きの仲間たちが自然に集まってくるだろう。彼らをメンターにすればよいのだ。
仲間同士で良書をすすめ合えば、面白くて役に立つ本に出会える確率がうんと高まるにちがいない。
僕も書評ブログ仲間からオススメ本を紹介されることが多々ありますが、そういった本はまずハズレがありません。
メンターがすすめてくれる本はオーダーメイドの仕立て服のようなもの。自分にフィットしていて外れが少ない
という著者の意見にはまさに同感。
あとオススメなのが、信頼できるブログを参考にすることでしょうか。
最近はどのブロガーさんも書評記事を書いているので、ふだん自分が共感することの多いブロガーさんのオススメ本にはハズレが少ないと思います。
(ついでに当ブログもたまに参考にしていただけると嬉しいです。)
感想
以上、堀紘一氏の読書術を紹介しました。
昔から読書の効用は言われ続けていますし、実際のところ社会人が知識と教養を得る方法として読書ほど手軽で身近なものはありません。
費用、時間、質と量など総合的に考えると、インターネット上に様々なコンテンツが溢れている現代においても読書ほどコストパフォーマンスと自由度の高い勉強方法はないと思います。
それなのに先述しましたが、周りを見回してみても読書かと思われる人はほとんど見かけないというのが現実。
実際、様々な統計で日本人のほとんどが年間10冊も読書していないという結果が出ています。
そんななかでもしあなたが年間100冊読むことを毎年続けていけば、かなりの知識量を身につけた抜きん出た存在になれる可能性が非常に高いことはおわかりでしょう。
今現在読書習慣のない人には年間100冊(週2冊ペース)という目標はかなりハイペースだと思われるとことでしょう。
しかし何事も継続は力です。
読めば読むほど、知識が増えれば増えるほど、読むスピードが上がり、内容も高度なものが読めるようになります。
まずはエンタメ性の強い小説からでもいいので、一冊常に持ち歩き、隙間時間にさっとページを開くという習慣を身につけることからはじめましょう。
何年後かにはきっと年間100冊ぐらいでは物足りなくなっている自分に気付く時が来ますよ。
本書はSBクリエイティブ様から献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
序 章 人生を楽しく生きる3つの方法
第1章 学歴より、読書で「学習歴」を作れ
第2章 読書の7つの効用
第3章 ビジネスパーソンが読むべき4つのジャンル
第4章 読書をすると運がよくなる
第5章 今日から始める<堀式>読書術
第6章 読書の効果を高める工夫
第7章 読書が私の進む道を決めた
第8章 Q&Aでさらに役立つ読書のコツを学ぶ
関連書籍
社会人としてどんな本を読むかというテーマで書かれた本としてこちらもオススメ。