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絶望名人カフカの夢や目標に対する絶望ベースの人生論

おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

先日、新潮文庫の100冊に選書されている『絶望名人カフカの人生論 』 という本を読んだのですが、これが妙にツボにはまりました。

もうネガティブの極地、表紙からしてorzですからね。
ここまでネガティブすぎるとかえって潔くて清々しい(笑)。
妙な元気をいただけます。

今回はカフカの数々の「絶望」の言葉から、「夢」や「目標」そして「仕事」に関する言葉をピックアップしました。

「夢」や「仕事」に悩んでいる人、試しに読んでみてください。

 

絶望名人カフカの夢や目標に対する絶望ベースの人生論

★目標に到達する難しさ

 

目標があるのに、そこに至る道はない。
道を進んでいると思っているが、
実際には尻込みをしているのだ。

夢を持つこと、目標を定めることの大切さは誰もが知っています。
けれど、それを実現するためにはどうしたらいいのか、その方法を見つけるのがすごく難しいですよね。
また、夢を実現する方法を見つけたとしても、そこを進んでいくのがまた困難。
結局ほとんどの人が、あれこれ生き方を迷っているうちに、人生時間切れとなってしまいます。

★手にした勝利を活用できない

 

人間の根本的な弱さは、
勝利を手にできないことではなく、
せっかく手にした勝利を、活用しきれないことである。

戦いに勝利し、自分の夢を実現できたり、目標に到達したとしても、結局うまくいかないということも多々あります。
人は勝つことも意外と苦手なのですね。
大切なのは手にした勝利をどう生かすかということです。

★人生のわき道にそれていく

 

生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。
本当はどこに向かうはずだったのか、
振り返ってみることさえ許されない。

人生は思い通りにいかないもの。
自分の夢や目標がはっきりしている人がそこに向かって進んでいても、思いがけず脇道に進んでしまうことはよくあります。
「こんなはずではなかった」と思っても、結局、今歩いているわき道こそが自分が目指した本当の道なのかもしれません。

★重いのは責任ではなく、自分自身

 

いっさいの責任を負わされると、
おまえはすかさずその機会を利用して、
責任の重さのせいで潰れたということにしてやろうと思うかもしれない。
しかし、いざそうしてみると、気づくだろう。
おまえには何ひとつ負わされておらず、
おまえ自身がその責任そのものにほかならないことに。

ここでいう「おまえ」はカフカ自身のこと。
カフカは、負わされている様々な責任の重さに耐えかねて潰れてしまっているようにみえるけれども、実は自分自身を抱えて生きる責任こそが重さのすべてだというのです。
逆に言えば、世間のプレッシャーなどというものは大したものではないのかもしれません。

★自分を信じて、磨かない

 

幸福になるための、完璧な方法がひとつだけある。
それは、
自己の中にある確固たるものを信じ、
しかもそれを磨くための努力をしないことである。

この言葉、ポジティブ思考の人なら「ん?」となるでしょう。
一瞬意味がわからなくなりますが、これは心理学では「セルフ・ハンディキャップ」といって、

自分にハンデを与えることで、失敗した時に自尊心が傷つかないようにする、という心理

だそうです。
どういうことかというと、たとえば、

才能があると信じて、でもその才能を伸ばす努力をしなければ、失敗した場合にも「努力をしなかったから」と言い訳がたつので、自尊心が傷つかずにすみます。また、もし成功すれば、「努力しなかったのにスゴイということになります。

自己防衛なんですね。

★生活のための仕事が、夢の実現の邪魔をする

 

ぼくの務めは、
ぼくにとって耐え難いものだ。
なぜなら、僕が唯一やりたいこと、唯一の使命と思えること、
つまり文学の邪魔になるからだ。
ぼくは文学以外の何ものでもなく、
何ものでもありえず、またあろうとも欲しない。
だから、勤めがぼくを占有することは決してできない。
でもそれは、ぼくをすっかり混乱させてしまうことができる。

カフカは労働者障害保険協会で務めていましたが、専業作家になることを理想としていたそうです。
しかし作家では食べていけないため、生きるために徹底して嫌っていた仕事を続けます。
この生きるための仕事をカフカは「パンのための職業」と呼んだそうですが、今の日本では「ライフワーク」をもじって「ライスワーク」と言ったりしますよね。
なりたいものがあるのに生活のために不本意な仕事に就いている。
人はいつの時代にも同じ葛藤を持つものなのです。

★仕事に力を奪われる

 

ぼくが仕事を辞められずにいるうちは、
本当の自分というものがまったく失われている。
それがぼくにはいやというほどよくわかる。
仕事をしているぼくはまるで、
溺れないように、できるだけ頭を高く上げたままにしているようだ。
それはなんとむずかしいことだろう。
なんと力が奪われていくことだろう。

憧れの「ライフワーク」があるのに、生活のための「ライスワーク」に縛られている人には、この感覚はすごく共感できるでしょう。
まぁ、「ライスワーク」にだってやりがいは見いだせることがあるし、学ぶことや得るものも多いはずで、そのためか多くの人が夢を忘れて日々の日ごとに埋没していく結果となるのですが、その点はカフカは徹底して断固拒否しています。

★なぜ好きな仕事で身を立てようとしないのか

あなたはお聞きになるかもしれません。
なぜぼくがこの勤めを辞めないのかと。
なぜ文学の仕事で身を立てようとしないのかと。
それに対して、ぼくは次のような情けない返事しかできないのです。
ぼくにはそういう能力がありません。
おそらく、ぼくはこの勤めでダメになっていくでしょう。
それも急速にダメになっていくでしょう。

カフカは作家という「ライフワーク」に憧れ、労働者障害保険協会の仕事を呪い続けるのですが、「それなら辞めて専業作家になればいいじゃないか」と思いますよね。
ところがカフカはまったく自信がないのです。

ぼくの仕事が長くかかること、またその特別の性質からして、文学では食べてゆけないでしょう。

と自分で決めてしまっています。
「特別の性質」とは彼の作品のこと。
作家としていきたい、でも彼の作品は一般受けしないから生活はできない。
その葛藤の中でかれは生涯を閉じていきます。

感想

カフカの作品に初めて触れたのは、読書の楽しさに目覚めた高校生の頃でした。
ご多分に漏れず、『変身』を読んで「なんじゃこりゃ~」と衝撃をうけたものでした。

まぁ、結局それ以外には読んだこともなく(作品数が少ないし)、カフカという人がどんな人だったかもよく知りませんでした。

あれだけの特異な作品を生み出せた人なのに生前はほとんど評価されず、作家としては恵まれないまま41歳になる誕生日の前に亡くなっています。

今回はそんなカフカの「目標」や「仕事」に関した言葉をピックアップしてみました。

本書は、落ち込んでいる時に悲しい歌を聴きたくなるように、「絶望しているときには、絶望の言葉が必要」ということでカフカの「絶望」の言葉を集めた本となっています。

「夢」や「目標」を持ちながらも、なかなかそこを目指すことができない、努力しても到達できないという人は多いでしょう。

落ち込むこともあると思います。

そんなとき、カフカの「絶望」の言葉はかえって勇気をくれるのではないかと思ったからです。

また、下記の目次を見ていただくとわかると思いますが、とにかく人生全般すべてにおいて「絶望」していたのがカフカという人。

仕事も結婚も自分の体にも、ありとあらゆるものに絶望しているその言葉はネガティブパワーで溢れています。
普通、ポジティブな人がネガティブな言葉を目にすると「何を言っているんだしっかりしろよ」と思うもの。
あるいは不快に感じるかもしれません。

しかしカフカはもうネガティブの極地。
まさにタイトルのように「名人」なわけで、ここまでネガティブだと清々しく、思わず笑ってしまいます。

なにか完璧にへこんだ時、ちょっとこの本を覗いて「絶望」に浸ったら、多分また元気になれるのではないかと思います。

ということで、なにかに「絶望」したときに一読オススメ。
あらゆる「絶望」に対応しています。

目次

はじめに カフカの肖像 いかに絶望し、いかに生きたか
第1章 将来に絶望した!
第2章 世の中に絶望した!
第3章 自分の身体に絶望した!
第4章 自分の心の弱さに絶望した!
第5章 親に絶望した!
第6章 学校に絶望した!
第7章 仕事に絶望した!
第8章 夢に絶望した!
第9章 結婚に絶望した!
第10章 子どもを作ることに絶望した!
第11章 人づきあいに絶望した!
第12章 真実に絶望した!
第13章 食べることに絶望した!
第14章 不眠に絶望した!
第15章 病気に絶望・・・していない!
あとがき 誰よりも弱い人

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