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発熱突進型人生論【書評】石黒 謙吾(著)『7つの動詞で自分を動かす』 実業之日本社

おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、ちょっと変わった味わいの人生論、自己啓発書(?)をご紹介。

著者、石黒謙吾氏の、決してスマートではない、雑味たっぷりな、そして読み終えた時にきっとほっこりする。
そんな独特なテイストの世界をお楽しみください。

これは秀作です!

 

7つの動詞で自分を動かす
【目次】
はじめに
序章 なぜ動詞なのか
第1章 ぶつける
第2章 分ける
第3章 開ける
第4章 転ぶ
第5章 結ぶ
第6章 離す
第7章 笑う
終章 見返りを求めず

【ポイント&レバレッジメモ】
★「1億総依存症時代」に染まらないでください。

 待ちの姿勢がじわりじわりと日本の人々に浸透しているような匂いがする。
「1億総依存症時代」そんな印象を受けています。街中で聞こえてくる日常会話から、メディアを通じて見聞きするやりとりから、そんなふうに体感しています。
 受動的姿勢から立ち上がり、自分で自分の背中をどうやって押すか。手が届かないそこに対して。その対策としては、自分の意識の変化しかありえず、最終的には誰でも手伝えるものではありません。だから、まず自分でやったかやらないか、判別可能な「動詞」を思考の中に刷り込みましょう。

■ぶつける
★請けグセをつけるな

 自分が好きなネタ、やりたい企画を持ち込んで成立させていけば、仕事を請ける必要はなくなるんです。<中略>
「村上春樹さんに、編集者がこまごまとした原稿の依頼はしないだろう。請ける必要などないわけだし編集者もそれが当然と認識している。そもそも、自分の書きたい小説を書いているだけで人生は充足しているはずだから。みなさんだってそういうスタイルが最終目標としたくはないですか。だとしたら、仕事をたくさん”もらう”なんて、小さいところを目指すなと言いたいのです」<中略>
「つまり、仕事はやりたいことをぶつけて相手を揺り動かしてから作るもの。どんどん自分から出版社に企画をぶつけていってほしいんです」

 

★迷ったらやる

「やる」か「やらない」と考えずに過ごしているのは逃避です。やるかやらないか、今迷ってるなと自覚したならやる。そこはただシンプルな意思決定があるだけです。

 普通にやる。思ったことをやる。愚直に続ける。

■分ける
★仕事を細分化して向上する喜びを得る

 仕事をより楽しく感じられるために、分けるで考えていきましょう。
 仕事をできるだけ分解していくのです。そして、その隅々を顕微鏡で見るように「ここ、さらに向上させることってできないかな?」と自分自身で工夫してみる。<中略>
 つまらない仕事でも耐えるべきとか言うのは、つまらないことの根本的解決ではない。それは対処両方としての市販薬に過ぎません。根本から体質を変えるための漢方薬に今日からチェンジしましょう。その一歩目はとても簡単。仕事を細分化する。これで自分が向上する方法もするりと思いつくはずです。

★「木を見て森も見る」

「木を見て森も見る」僕が思うベストな見方はこれです。
 俯瞰と虫瞰。鳥のように空から見たり、虫になって間近で凝視したり。まず大づかみに全体に何があるか見渡す。見渡したら一つひとつを見比べて配置を決める。つまりは細部の分析(各論)による分類。これを繰り返して、再構築した全体から、大きな分析(総論)や、対策などが浮かび上がってくる。
「グーグルアース」で画面上の景色、地図がズームイン、ズームアウトして広がったり狭まったりする間隔はかなり近いですね。

★「雑味」が滲み出ている人は魅力的

 特別に雑味雑味と探したりすることはありません。人の評価ではなく、自分の尺度と基準をしっかり持って、好奇心のおもむくまま、興味あること、面白いもの、心が揺れたものに向かっていくだけです。一般的にわかりやすくされたカテゴライズを気にせずに雑多なネタを仕込んできましょう。
 そういう雑味が滲み出ている人は魅力的だと感じませんか?

■開ける
★扉を開く

 知らないことに向かわない姿勢は、人生の楽しみを放棄していると僕は感じます。
 四の五の言わずにまずは「開ける」。僕はいつも心にこの言葉を携えて行動するようにしています。そして、やるかやらないか迷っていると自覚したらやる、と決めています。それは内なる好奇心の扉を開くための大切な意識だと思います。

★SNSは、自動ドア

 SNSでつながってなんでもやりとりできていると、これだけでオープンハートな状態、心を開きあった状態と錯覚しそうなのがあぶないと思うのです。
 SNSは、自動ドア。
 僕たちが意識の上で開けるべきなのは、手動ドア。

【感想など】

ここまででまだ前半部分ですが、あまりにワタクシのアンテナに引っかかるフレーズや考え方のオンパレードですのでこの辺でストップ。

後半は本書でご確認を。

とにかく近年まれに見る独特の味わい豊かな本でした。

冒頭でも書いたように、著者ご自身の雑味が素晴らしいテイストで、引き込まれてしまいました。
たぶん、ワタクシと波長があったのでしょう。

ビジネス書の世界にはよくこういうのあるじゃないですか。

イメージ的にですが、超難関大学を卒業後、アメリカでMBAを取得して帰国。
大手企業で第一線で活躍後、独立起業・・・そして成功。

こういう著者が書いたビジネス書って読んでいて「すごいなぁ」とは思うものの、自分とあまりにかけ離れていて、「私にできたのだからあなたにもできますよ」なんてお決まりの文句を言われても全然響かない。

それに対して、本書はとにかく響いてきました。

(失礼な表現かもしれませんが)著者はエリートでもなんでもなく、泥臭く、現場でもがきながら叩き上げられてきた方。

本書にも登場する「ただ愚直に進む」をモットーに、いわばエネルギーだけは大量に放出しながら進んできた感じ。

先述のエリートさんをハイテク制御の新幹線にたとえるなら、本書の著者は大量の熱量を煙とともに発生させながら地響きをあげて進む蒸気機関車の感じです。

こういう発熱突進型の人ってどんな職場でも少なくなったと思います。
なんでも効率効率で、しかも失敗しないようにスマートに。
こういう風潮が時代なんでしょうか。

ちょっとうるさくて、煙たくて、しつこくて・・・・でもその熱はビンビン伝わってくるから、「あんたがやりたいなら応援するよ、手伝うよ」ってつい言ってしまう。

ワタクシそういうタイプの人が大好きだし、多分ワタクシ自身もそのお仲間です。

だから本書はすごく響いてくるし、歳を取ってもこういうエネルギーの使い方ができる、「ええ歳して、いつまでも熱いオッサンやなぁ」といわれ続けたいと思っております。

そのための方法として、本書では一風変わった表現と言うか、方法をとっております。

目次を見て頂ければわかるように、本書は7つの動詞+1の言葉で各章のテーマを構成しています。

で、なぜ動詞か?

例えば最初の「ぶつける」。

これを何度も何度も自分に刷り込むのですよ。
そうしたらいつの間にか、何も考えなくても「ぶつける」自分になっている。

これが例えば名詞で「行動」だと、ストレートに動くというところまでつながらない。

考える間もなく、間髪入れずに脊髄反射的に反応するためには動詞で刷り込むしかないのだと思います。

この方法はワタクシも気がつかなかった。

ワタクシももういい歳したオッサーンなので、自分なりに人生の指針をもっていますが、動詞で考えるといのは初めて得たコツです。

今年は”動く”をテーマに掲げていましたが、”ぶつける”に変更(笑)。
バンバンタックルするイメージで今年を駆け抜けようと思います。

ちなみに最終章は、「やっぱりその境地にいくんだ」とワタクシは大納得しました。
この点については、ぜひご自分で読んでみて、自分の感性で感じてみてください。

「愚直に動く」、俺は新幹線じゃなくて蒸気機関車だと思うならぜひ一読を!
納得できて、共感できて、最後にはほっこりしてしまう、そんな希有な人生論の秀作です!

本書は実業之日本社編集者の酒井様より献本して頂きました。
ありがとうございました。

【関連書籍】

同著者の既刊本をご紹介。
さすがに雑味の多い著者だけに、本のテーマもバラエティに富んでいます。

 

新規銘柄、ラベルデザイン変更多々。写真、チャートとともに163銘柄+専用グラスを完全ガイド。5年ぶりの大幅改訂版。

 

頭の漢方薬
実は、2択は「デジタル」じゃなく「アナログ」
NOT! ライフハック 即効より遅効の時代
じわじわと仕事と人生を豊かにする

●二択=イエスノーや◯×ではない
●「あの人、勘がいい」は、経験を経験則に定着させているから
●会話とは「しゃべる」「しゃべらない」の二択です
●立ち食いそばでわかる、決断が早くなるプロセス
●「いいな、嫌だな」で二択の筋トレを
●「諦める」は、いい二択

 

4年前に刊行され感動の渦を巻き起こした「クイール」が、いよいよ文庫となりました。文庫化にあたり、単行本未収録の27点もの秘蔵写真を新しく追加。やんちゃで可愛い仔犬時代や、パートナーの渡辺さんに寄り添い盲導犬として活躍する姿など、クイールファンにはたまらない写真ばかりです。クイールの訓練士・多和田さんや著者の石黒さんが、「クイール」出版後の盲導犬をとりまく環境の変化などについて、文庫版のために特別に寄稿されています。文庫化を記念して、DVDや図書カードなどが抽選であたる読者プレゼントキャンペーンも実施します(詳しくは文庫の帯をご覧ください)。ルビ多数で小学生から読めるので、お子さんへのプレゼントにも最適です。

 

石黒謙吾が30年間しゃべりちらした珠玉の創作ダジャレ1000個を、日常生活の各シーンに合わせてTPO別に体系化。“本当に使える”用例が野村満載。合コンで…、コンビニで…、会議中に…、ありとあらゆるシーンであなたの魅力を引田天功します(失笑)。「大人たばこ養成講座」の寄藤文平によるダジャレの絵解きも収録。

2 COMMENTS

akokinoko

すてきな本ですね!
ichiryuu様のご紹介だけで、十分引き込まれてしまいました。
たぶんichiryuu様とワタクシも、波長があうのでございましょう。
新幹線じゃなくて、蒸気機関車になりたい、
できたら蒸気機関車に牽引されるオリエントエクスプレスになりたいですね~

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讃州屋 一龍

akokinokoさま。
最近のビジネス書では珍しく著者自身の味わいが楽しい本です。
ぜひお読みください。
波長合っていますよ、結構好きなものが似てますもんね(笑)。
私の場合は新幹線には憧れるけど、そんな能力がなくて結局力任せで仕事をするしかないだけなんですが・・・。
オリエントエクスプレス!いいですね。

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