おはようございます、うどん県と東京のヂュアルライフに憧れる一龍(@ichiryuu)です。
さて今日は、ビジネススタイルとしての最近流行の”ノマド”とは根本的にちがう、生き方自体を提唱する本をご紹介。
著者の体験をもとに多くの事例を紹介しつつ、ライフデザインを論じる本書。
ワタクシも興味津々の”生き方”満載です。
【目次】
はじめに
プロローグ 「ノマド・トーキョー」という生活実験
第1章 「セルフデザイン」 しなやかさは「多面性」から生まれる
第2章 「ワークデザイン」 「つながり」が生む働き方
第3章 「リビングデザイン」 デュアルライフ時代の「多拠点住まい術」
第4章 大航海時代のキャリアデザイン
第5章 「あいだ」を行き来するこれからの人生設計
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★「仕事革命家」
伊藤さんは「仕事も、欲しい物も、自分でつくるのは面白い」をキャッチフレーズに、ナリワイ(仕事)も職場もDIYし、一つの仕事の収入が月数万円でもそれを複数作り出して生計を立てるという、オルタナティブな働き方をしています。
このような仕事のスタイルを彼自身は、「個人レベルで始めることができ、自分の時間と健康をお金と交換するのでなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事」と定義しています。
具体的なナリワイのタネを自分の実生活の中に見つけ、一つ一つを自分の小規模な自営業として機能させ、それらを組み合わせていくことで「働くこと」と「自分の生活」を近づけることを目指し実践の日々を送っています。
★「副業」ではなく「複業」
伊藤さんのように、今までなら副業といわれてきたような仕事であっても、これからは、「副」ではなく「福」数ある仕事の一つになるかもしれません。
収入差はあっても、精神的にどれがメインということは考えなくてもいいと思います。よくよく考えれば、人の能力は「仕事人」と「家庭人」のたった二つに閉じ込められるものでは本来ありません。
人の能力を「専業」という名のもとに閉じ込めることをやめて、複数の仕事、複数のプロジェクトのあいだを行き来する。それはリスクヘッジにつながるとも言えます。一つの仕事がつぶれても複数のラインで仕事をやっていく方が危険を避けられるのです。
★「何をやっているかわからない人」が褒め言葉になる
自分の可能性を一業種、一社に限定せず、複数のラインをつくってパラレルに同時閉口させることが、将来へのリスクヘッジだけでなく、新しい未来への投資になるのです。
「何をやっているか分からない人」というのは、自分だけのオリジナルな「土地」を見つけ、そこに種を蒔いている人かもしれません。まだ形になっていないもの、目に見えないものに取り組んでいる人たちであり、その行動力や実行力は、これからは褒め言葉になると思います。
★「人生の時間軸を横に倒す」
「お金を稼ぎ、引退してから第二の人生を送るのではなく、自分が過ごしたいと思う第二の人生を、今すぐに行動に移してしまうという考え方です。60歳まで約40年間働き、残りの20年を趣味に生きる老後とするという縦の計画を横に倒してみる。<中略>」
「僕が思うノマドとは、単に定住していない旅人のことを言っているのではなくて、人生の時間軸を横に倒し、人生という地図の中で今すぐたびをすることのできる人。年齢によっていろいろと興味は変わっていくだろうし、もっとやりたいことが増えるでしょう。やちたいことは無限にある。それをやり尽くすためには早くから始めた方がいいんです」
★忘れていた自分を自然で取り戻す
僕らは、都市生活ではずっと「ハレ」の状態を続けているのかもしれません。けれど、自分自身をゆるめること、「ケ」の状態で静けさを獲得すること。仏教でいうところの考えるのをやめる=「止観」することは。毎日、時間と情報に追われていてはできません。
ぼーっとした時間、心の「空白」を取り戻す時間や場所を、意識的に獲得するのは重要なことです。そんな心の空白に浸っていると、ふと、普段なかなか浮かばないいいアイデアや構想が出てくるという効用もあります。
都心と郊外との往復というのは、都会限定での異動生活を標榜していた僕に新たな視点を与えてくれました。
★手触りのある暮らし
「ノマドワーキング」は、ITツールを駆使して場所を選ばず働くことを可能にしましたが、僕はノマド・トーキョーという「多拠点生活」を通じて発見したのは、場所を異動することで、「身体性」を獲得することができるということです。
ITツールは最大限活用しますが、むしろ、それらに縛られることなく生活することに向き合えるようになったのです。
★分厚い計画書だけでは問題を解決できない
実は「デザイン」という言葉は、単にグラフィックを描くとか造形物のモデルをつくるということだけでなく、「問題を解決する」という意味があります。<中略>
つまり、ライフをデザインすることとは、人生が機能性だけの計画によって遂行されて味気ないものになることでも、見た目の美しさばかりを求めて、実のない機能を果たさないものになることでもない。プランは所詮、絵に描いた餅です。大切なのは、行動の連続の中で問題を解決しながら前進するということです。
★余白を組み込む
ライフデザインの最終目標は、自分なりに幸福感を感じられる生き方を得ることともいえます。そのためには、単一の価値観に縛られずに、計画と偶然の「あいだ」を振り子のように行ったり来たりしながら可変性を持ち続けることです。
ある目的に向かって全身全霊がむしゃらに進むときもあれば、うまくいかずにやり方を変えたり、たまには降りたりすることもある。そして、自分がそこで闘えないと思える舞台に無理に上がる必要はありません。
【感想など】
まず本書は冒頭、2011年に約1年間著者が行った生活実験、「ノマド・トーキョー」についての記載から始まります。
家財と定住所を持たずに東京という”都市をシェア”しながら旅するように暮らすという実験なのですが、ここでもうワタクシはノックアウトされました。
近年流行語にもなっている”ノマド”ですが、ワタクシなりの解釈ではそれらはあくまでビジネススタイルの話し。
ビジネスの場が定位置として決まっていないだけで、プライベートの生活拠点まで”ノマド”の人はまずいないでしょう。
それを実験してみた人がいようとは思いもしませんでした。
ワタクシは若い頃にテント担いで、あるいはバイクに積んで長期の貧乏旅行を何度もしました。
その経験は精神の深いところに刻まれているように思います。
というのは、毎日住むところが変わるというのは非常に刺激的であると同時に、とてもシンプル。
特に、自分が背負っているバックパックやバイクに積んである荷物を見て、いつも「人間は最低限これだけの荷物があれば生きていけるんだ」という感覚が身についたようです。
だから、自分の家を持ち、本であふれかえる書斎でこの文章を書いている今でも、もし天災やリストラにあってすべてを失っても、自分一人ならなんとか生きていけるという妙な自信が心の奥底にあったりします(これがいいのか悪いのか分かりませんが・・・)。
今回本書を読み、著者のトランク一つをもって移動する写真を見たとき、そういった若い頃の経験や感覚がまざまざとよみがえってきました。
ただ、ワタクシのは所詮お遊びの貧乏旅行。
著者の「ノマド・トーキョー」のように、仕事をして稼ぎながら定住しないというのはかなり大変なことだと思います。
いわば、本物の”ノマド”。
そして、本当の意味で「旅するように生きる」という生き方が、本当にできるのか?という点で、本書にグイグイ惹かれてしまいました。
著者はこの実験経験から得た経験や出会いから、ノマド、ソーシャル、シェアなどのテーマのその先を知りたいと考えます。
それで、本書後半では「セルフデザイン」「ワークデザイン」「リビングデザイン」の3つのポイントを、自分自身の生き方を”デザイン”している実践者達を紹介しながら検証しているのですが、ここで登場する方皆さん本当に興味深い生き方をしているのです。
特にワタクシが惹かれるのは都会と田舎のである生活を実践されている方達。
本書中に著者が、田舎生活で身体感覚を取り戻すといった趣旨のことを書かれていますが、ワタクシは田舎に住んでいて実際にそれを毎日感じます。
でも、それと同時に、ワタクシの”会ってみたいな、話しを聞いてみたいな、見てみたいな”といった欲求を満たしてくれるのは東京なのです。
田舎か都会かという「二者択一」ではなく、「あいだ」を生きる柔軟性、これだ!と思いました。
また、「人生の時間軸を横に倒す」という考え方、これもガツンとやられました。
もうとっくに終身雇用は幻想になっているし、定年後の年金もあてにはならないのに、いまだに定年後の第二の人生まで我慢する生活スタイル、人生設計をしていますよね。
いわば、ライフとワークのバランスですが、わたしたちはもう少し、ワークからライフにバランスの中心をシフトしてもいいのかもしれません。
自分のしたいライフにワークを合わせる。
この価値観の転換が人生の充実感に大きく作用するでしょうし、今後スタンダードな生き方として認知されていくのではないでしょうか。
単に、ITを駆使してカフェで仕事をするノマドではなく、そのずっと先を、そして生き方というずっと深いところを、「セルフデザイン」「ワークデザイン」「リビングデザイン」の3つの観点から語った本書。
自分自身の人生を見つめるとき、新しい生き方に目覚めさせてくれるかもしれない一冊です。
本書はダイヤモンド社編集者の市川様より献本していただきました。
ありがとうございました。
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