おはようございます、クレームは滅多に言わない”お客様は神様”を自でいく一龍(@ichiryuu)です。
さて今日は、菊原智明さんの新刊をご紹介。
世の中にはこんな理不尽なクレームをつけるお客がいるのかと驚くと同時に、そのクレームを逆に利用してトップ営業マンに登り詰めた菊原さんの発想の転換が見事な一冊。
現在色々悩みを抱えている営業マン、必読の一冊です!
【目次】
お客様はいまだに神様なのか?
はじめに お客様を持つ、すべての人へ
第1章 クレームを知る! 8人の困った「お客様」たち
第2章 クレームを活力す クレームで信頼を得る人、失う人
第3章 クレームを伝える! 図解・クレームを仕事に活かす最強の手紙術
あとがきに代えて クレームをなくす唯一にして最大の方法
【ポイント&レバレッジメモ】
★クレームはなぜ起こるのか?
クレームが発生した時、お客様に責任を転嫁したくなるケースは非常に多いと思います。 私も頭に血が上った時などはよくお客様のせいにしたものです。しかし、すべてをお客様のせいにすることができるクレームというのは、実際のところほとんどないというのが現実ではないでしょうか。第1章で見てきたように、こちらの対応にも落ち度がある場合がほとんどだからです。
ならば、クレームを発生させる一番の原因とはいったいなんなのか。端的に言いましょう。それは「営業マンの油断、甘え、そして逃げ」なのです。
★表面化しない不満を引き出す
黙ってしるからといってお客様が満足してしると思ったら大間違いです。むしろ、すべてのお客様は大なり小なり不満を抱えていて、それをなんらかの理由でおっしゃらないだけなのだと考えて下さい。そしてお客様からの直言がない以上、こちらがそのクレームを引き出してあげなければいけないのです。決して、「このお客様は何も言わないな。 ラッキー」などと考えてはいけません。
そうはいっても、「言ってくれないんじゃあ、クレームの防ぎようがないよ!」と思う方も多いでしょう。
だから、まず、黙りがちなお客様に対しては、「何かわからないことはありませんか?」「お困りではないでしょうか?些細なことでもかまいませんので、何かありましたらおっしゃって下さい」というふうに、こまめに声をかけるようにして下さい。ひとこと声をかけるだけでも、お客様は心のうちをずいぶんと伝えやすくなるものです。
★最高のコンサルタントとは、クレームを言って下さるお客様
クレームを言って下さるお客様は、理不尽であろうと横暴であろうと、実に的確にあなたの弱点を明示してくれます。<中略>
よくよく考えてみると、これらの苦言すべてが、客観的な自分の印象であり、改善の必要箇所を暗示するなんらかのヒントなのです。<中略>
何かとクレームをつけてくる、うるさいお客様と付き合うことになった時、《うるさい客だなぁ、もう勘弁してほしい》と思うか《自分や商品の弱点を的確に教えてくれる》と思うかで、その後の仕事の効率や意欲は格段に違ってきます。
それがひいては、仕事の楽しさやつらさのバロメーターにも大きく影響し、毎日の生活における「充実」を得られるかどうかにも直結してくる重要な問題です。
★最大の使命は失敗を伝えること
それでは、「営業マンの最大の使命」とはいったいなんなのでしょうか?
それはズバリ、
「過去のお客様の失敗を、次のお客様にお伝えすること」
なのだと、私は結論づけています。
なぜなら、人間だけでなく、すべての生物は「快楽を求めるより、苦痛から逃れるほうがより強い行動要因になる」というつくりになっているからです。
他のお客様の失敗例というのは、丁寧な接客よりも心に響き、わかりやすい商品説明よりも欲され、潜在的に隠れた要望を引き出します。予算を決める重要なポイントになり、契約を決断していただく上で最も興味を引くトピックにもなるのです。
★営業レターでは絶対「売りこむな」
7年連続ダメ営業マンだった私を、いきなりトップ営業マンにしてくれた営業方法 それは、お客様に「お役立ち情報」を手紙で送るというもの。もう少し具体的に言うと、
出会ったお客様に、「過去にあったクレーム事例」と「その解決策」を手紙にしてお送りするという方法です。
(詳しくは本書で)
【感想など】
◆クレームを活かす
これまで当ブログでも著書を紹介したことのある菊原さんは、元住宅販売の営業マン。
営業マンにとってお客様からのクレームは、それが正当なクレームであったとしても辛いもの。
ましてや理不尽なクレームともなると、心折れますよね。
ワタクシも何度も経験あります。
が、菊原さんの場合は扱っている商品が”家”!
単価がめっちゃ高い、一生の買い物だけに、クレームの理不尽さもレベルが高い。
その内容には後で触れるとして、菊原さん曰く、7年もの間、常に売り上げ成績会グループの超ダメ営業マン だったとのこと。
その間、本書に登場するようなクレーマーと付き合ってこられたのかと思うと、尊敬してしまいます。
ワタクシなら間違いなく辞めてましたね。
しかし、その”ダメ営業マン”が、”トップ営業マン”に変身するのです。
そのきっかけが実は”クレーム”。
「お客様からのクレーム」は、営業マンにとって最高のコンサルタントなのです。
そのあたりの気づきから変化へのいきさつが、本書の真骨頂。
まさに、クレームを活かす!本なのです。
◆驚く?あきれる?クレームの数々とその対応事例
さて、本書では、著者が実際に体験し、対応してきたクレームの8つのケースが紹介されています。
守秘義務もあるでしょうから、ここでは詳細を書ききれなかったと思いますが、いやこれすごいですよ。
失礼ですが、あまりにすご過ぎて、楽しんで読んでしまいました。
少し紹介すると、
子どもの塾の送り迎えや私的な買い物など、『一生に一度の買い物をしてあげたんだから、営業マンは私の言うことを聞いてくれて当たり前』と勘違いして用事を言いつける客
商談時は何も言わず納得するけど、メールでは別人に豹変してクレームを告げる客
ずっと施行中の家を監視して、大工さんの行動に口出しする客
すべてのものを1円単位まで金額をはっきりさせようとする客
などなど、強者が次々と登場します。
ワタクシもマイホームを建てたのですが、このクレームの数々を読んで、「こんなに言うことを聞いてくれるなら、もっとわがまま言えばよかった」とあらぬ方向に反省してしまいました。
ワタクシがクレーム言ったのは、新築の家に住み始めて最初の豪雨の時にベランダから雨漏りした時ぐらいですよ(←これは正当なクレームでしょ)。
ちょうど嫁さんがお腹が大きな時期だったから、買い物ぐらい頼めばよかったなぁ(笑)。
さて、この理不尽なクレームもすごいのですが、もっとすごいなと感じるのは菊原さんの対応。
本書で紹介されている8つのクレームそれぞれに、著者の解決策を掲載しています。
これは、扱う商品が違っても、営業の本質は変わらないので、現在クレームに苦しんでいる人には必ず参考になるものばかりでしょう。
そしてこれらのクレームが菊原さんの財産となるのですから、人生ってわからないものですよね。
◆クレームを利用してトップ営業マン
最後に、営業マンがいちばん気になる部分。
菊原さんはひょんなことから、過去のクレームを伝えるとお客さまが喜ぶということを発見します。
自分が苦しめられて来たクレームが、実はお客の心をつかむ営業の武器となることを知ったのです。
そして、クレームを利用してトップ営業マンに変身していきます。
その手法は、これまでのお客様から出たクレームとその解決方法を、「お役立ち情報」として手紙でお客様に伝えるというもの。
詳細は本書を読んでほしいのですが、ワタクシもこれにはなるほど!と納得。
以前、家電の大型量販店でエアコンを買おうとした時、お店の人から、〇〇メーカーはモーターが弱いとか、△△メーカーのエアコンは値段が高いわりに性能はそれほどでもないなど、各メーカーの弱点を教えてもらいました。
これ、客にとってはかなり嬉しい情報です。
各メーカーは自社の製品のいいところしか言いません。
でも、消費者が知りたいのは「本当のところはどうなの?」という点。
ですから、それを教えてくれる営業マン(販売担当者)をすごく信頼します。
ましてや住宅という絶対に失敗したくない買い物の場合は、短所も隠さず教えてくれる営業マンは絶大な信頼を得るでしょうし、安心感がありますよね。
現在苦戦している、特にクレームに心折れている営業マンはぜひ本書を参考にしてみてください。
あなたを苦しめているクレームが、実は宝の山なのだと気がつきますよ。
本書は著者、菊原様より献本していただきました。
ありがとうございました。
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