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自分の目で見抜いてしまえ!【書評】鈴木 哲夫(著)『政治報道のカラクリ』 イースト・プレス

おはようございます、3連休はおとなしく家でブログ書いてる一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、ちょっとお硬く政治に関するお話、鈴木哲夫さんの本をご紹介。

政治家とマスコミの報道戦略がメインのテーマなのですが、これがなかなか興味深い。
民主主義にとって何が大切なことなのかも考えさせられます。

 

【目次】
はじめに なぜ、「汚染水問題」は報道されなかったのか
第1章 つくられた「政権交代」
第2章 政党と代理店に操られる選挙報道
第3章 政治ニュース「劇場化」の内幕
第4章 ネット選挙と安倍政権の情報戦略
おわりに 安倍政権は「ナチスの復活」なのか
参考文献

【ポイント&レバレッジメモ】
★「争点ぼかし」「争点隠し」

「まず政党が声高にあれこれ言っていることは争点からはずして考えた方がいいと思いますよ」
 ほぼみんなキョトンとするが、私が言いたいのは、政党や候補者は必ず、「争点ぼかし」と言うか、「争点隠し」をやるのだ。必ずやる。
 理由は簡単だ。そもそも選挙に勝ちたいのだから、ウケの悪いことを言うはずがない。どうしてもやらなければならないことについては「与党の責任」「政治の責任」「耳障りなことも国民にきちんと言うのが政治だ」などと格好をつけてはいるが、どうせそれを口にするのは1度か2度。マスコミなどに記者会見で質問されたときぐらいのものだ。
 あとは、そのことにはできるだけ触れないようにする。選挙の公約集冊子などにはちゃんと書いているのだが、街頭演説などでウヶが悪いことには触れない。
これが「争点ぼかし」であり、「争点隠し」だ。

★二大政党制の必要性

私は、「衆参ねじれ」は、むしろ歓迎すべきことだと思っている。
一党独裁の大政翼賛的政治が危険だからだ。ブレーキ役や監視役がいなくて政治は大丈夫か。危ないに決まっている。
私は断言する。
いつ政権から転落するかという危機感なくして政党も政治家も正直にはならない。権力の座についた政党や政治家は、事実や真実を隠し、必ずコントロールする。
 だからこそ、政権交代の緊張感は絶対に必要なのだ。
 自民党にいつでも代わることができる二大政党の片方が必要だ。野党協力、野党共闘、野党がひとつになるすり合わせは急務なのだ。

★「アベノミクス」という仮面に隠された野望

「安倍さんがいちばんやりたいのは憲法改正です。それをやるために総理大臣になったと言ってもいいぐらい。国防軍の明記をはじめ、強い外交と安全保障が安倍さんの目指すところですからね」
 安倍は衆参両院で憲法改正の手続きに必要な3分の2の勢力を確保しなければならない。
衆議院で大勝したあとは、今度は参議院だ。その選挙が夏にある。
「安倍さんは、景気を回復させたという実績で支持を上げ、そのまま参院選になだれ込んで圧勝することを考えています。そのあと、憲法改正に乗り出します。そこからが真の安倍政権ですね」(民間シンクタンク研究員)

★「ねじれ解消」は本当に正しかったのか

 自民党と公明党自身が、「争点はねじれ解消」と言うならわかる。彼らの目標は権力維持であり、衆参のねじれを解消して政策を実現したいと言うのは当然だ。
 だが、マスコミが口にするのは絶対に間違っている。
 そもそも衆参はねじれているからこそ意味がある。衆議院の暴走を参議院がチェックする……それが二院制ではないか。
 それを「ねじれ解消が争点」などと書くということは、言い換えれば「ねじれ解消のために自公に投票しろ」と言っているのと同じなのだ。<中略>
「ねじれ解消」を主張するのは、前述した「決められる政治キャンペーン」同様、永田町のマスコミに事情とウラがあるようだ。
「とくに新聞は経営が厳しい。打開するためにはアベノミクスを応援するという経営サイドの判断があるんじゃないか。だから自公に勝ってほしいんだろう」(自民党ベテラン議員)

★「平等な報道」は本当に正しいのか

 私は2013年6月にフリージャーナリストになるまで知年間にわたってテレビ報道に身を置いてきたが、選挙報道のたびに「平等性」に縛られるがゆえに、逆に「不公正で意味のない選挙報道番組になってしまっているのではないか」と思い続けてきた。<中略>
 私が政治とメディアについて考える集まりで講演した際に、年配の参加者から私に寄せられたこんな意見を紹介したい。
「メディアは平等、平等と言うが、いったい誰を意識して、誰に向かって言っているのか。各政党や候補に対して気を使っているだけではないか。有権者のための選挙報道なら、各候補の欠点や問題点を等しく批判してほしい。いいところばかりだと、まるで選挙管理委員会の広報紙でしかないじゃないか」

★「ネット選挙」の限界

「SNSって言うでしよ?ソーシャル・ネットワーキング・サービス、つまり誰でもいっでも参加できる自由なメディアではあるけれども、じつはそれはユーザーの個人の意思や意識、『個』というものが強く反映されると思うんです。テレビのように一方的に不特定多数のところにバァーッと情報が降って、それをイヤがうえでも見せられるというもんじゃない。ネットの場合はユーザー個人の意思で取りに行く。個人が見たい、聞きたい、参加したいという意思があるかどうかだと思うんです。だから、そもそも選挙に関心がなかったら取りに行かないでしょう」(2013年の参院選に出馬した自民党の現職候補(当選)の秘書)

★ネット選挙で発信すべき「3つの情報」

政治側が何を発信していたのか、そしてユーザーたちが何を求めているのか、その意識を読み取れているのか、さらにはそもそもの「政治」や「選挙」が関心を高められているのか・・・この3つがなければネット選挙は効果的に機能しないということだ。

★「争点」と「焦点」は違う

 まず、選挙における「争点」と「焦点」という似て非なる言葉を整理しておく。
 明らかに違うこの二つをゴチャゴチャに捉えている人が多い。
 まず「争点」とは政策である。
 たとえば、「消費税を上げるかどうか」「原発を再稼働させるかどうか」「憲法を改正するかどうか」「子育て支援を具体的にどうするか」といったものだ。
 これに対して「焦点」というのは、その選挙の意味合いだと考えればいい。いわばその選挙の「見どころ」だ。たとえば、「政権交代するかどうか」とか、「ねじれは解消できるか」といったものがそうだ。<中略>
 じっは、「焦点」はいつも魅力的で印象的である。当たり前だ。なぜなら、「焦点」というのは、政党や政治家が有権者を引きつけるような文言や内容を考え、それを「焦点」としてキャンペーンするものだからである。政党や政治家がコミ戦としてしかけてきているのである。
 そして、魅力的なフレーズだったりおもしろい「焦点」設定だったりすると、これまで述べてきたように、マスコミもそれに飛びつき、無防備に報じてしまうのだ。結果的に政党のキャンペーンの片棒を担いでしまうということである。

【感想など】

◆マスコミも営利目的の企業

著者の鈴木哲夫さんは雑誌などに連載を持つ政治ジャーナリスト。
そして、本書は政治家とマスコミなどの報道の裏側にあるカラクリを明らかにした著書です。

当ブログでは宗教と政治はできるだけ扱わないことにしているのですが、この本に関しては紹介するべきだと思ったので書かせていただきました。

というのも、おおげさな表現かもしれませんが、内容が民主主義の根幹にかかわることだから。

ワタクシが言うのもおこがましいのですが、民主主義というのは民が主の政治体制。
国民一人ひとりが国をどう導くかを考えて、その総意で国を動かして行くもの。

しかし、その国民の総意が意識的につくられることがあります。
その手段としてマスコミが使われることがあるのです。

 マスコミ報道など参考にとどめる程度のものであっていいのだ。
 新聞やテレビが大上段に構えてあれこれ論調を押しつけてきても、ひるむことはないのである。
 マスコミ自身も政党や政治家に騙されたり、利用されたりする。また、マスコミが独自の意図を持ってしかけてくることもあるからだ。
 信用するなとは言わない。しかし、あくまで参考でいい.政治の真実を見きわめるのは有権者自身だ。有権者一人ひとりだ。「新聞」も「テレビ」も「政治ジャーナリズム」も、そのための情報収集の、たんなる道具と思えばいいのである。

ワタクシはほぼ全くテレビを見ません。
新聞も遥か昔に一般紙は止め、経済新聞だけにしています。

理由は単純、必要ないと思ったからです。

自分の人生や仕事に関係する事柄なら、自分から調べればいいことですし、例えば選挙でも誰に投票するかは自分のアタマで判断すればいいことです。

若い頃に毎日、A新聞とS新聞を読み比べるということをしていました。
すると同じ事件、同じテーマでも、この左右両極の新聞を読むと真反対のことが書いてある。

この頃に思ったのは、「社説なんていらない。その新聞社の意見なんていらないから事実だけ淡々と伝えてくれる新聞はないのかな」ということでした。

著者が言うように、マスコミは参考にするのはいいと思います。
けれど、あくまで判断するのは自分自身です。

本書にも登場しますが、消費税引き上げ議論が野田内閣で行われていた頃、ある時期から新聞各社は「消費税率引き上げ反対」を言わなくなり、「年金や福祉の維持には税率引き上げはし方がない」という論調に変わりました。

その裏には、新聞は税率アップからはずしてもらうという思惑があったからだと、言われています。
結局、テレビにしろ新聞にしろ営利団体の企業なのです。

それを認識しておくことは有権者として絶対必要なことです。

◆コミュニケーション戦略

さて、本書で一番面白かったのは各政党のコミュニケーション戦略(コミ戦)の具体例でした。

イメージ戦略と言い換えてもいいでしょうが、これは古くからアメリカの大統領選などが有名ですよね。
ケネディがテレビ討論でのスーツとネクタイの色を工夫したというのは有名な話しです。

しかし、日本でも結構戦略的に取り組んでいたとは知りませんでした。

詳しくは本書にあたってほしいのですが、公明党のポスター戦術とか、小泉首相時代の総選挙では徹底したコミ戦が繰り広げられていました。

最近では参院戦後の管官房長官が無表情で笑わないのもコミ戦なのだとか。
選挙に大勝して責任の重さをしっかり受け止めている”演出”だそうですが、あれもこれも戦略なんだと構えて見るのは、通常の社会生活では疲れることですよね。

でも主権を持つ民主国家の一人として、これは義務なのだと思います。

たとえ支持している政党であっても、「騙されんぞ!」という意識は持っておくべきなのかと。 

◆ネット選挙

ところで、先日の参院選では初めてネット選挙が解禁となりました。

読売新聞と日本テレビ系列各局が共同で実施した出口調査も見てみよう。
こちらも「ネットを参考にしなかった」と答えた人がじっに80%。「参考にした」人はわずかに11%だった。
「参考にしなかった」人を年代別に見てみると、60歳以上は79%、50歳代は86%、40歳代
は84%、30歳代は79%、20歳代は73%。

というように、選挙戦の行方にはほとんど影響ない状態だったようです。
若い人の選挙への参加が期待されましたが、SNSはどのメディアよりも能動的なもの。

投票率の低さからもわかるように、政治自体に魅力がないのですから、急にSNSを取り入れたところで効果はあまりないでしょう。

ただ、今後やり方次第ではオバマ大統領の選挙戦のように、有権者を大きく巻き込むツールに発展する可能性は充分あります。

まっ、そこまで使いこなせる政治家やブレーンがいるかどうかですが。

ワタクシ自身は、政治家に直接気軽に意見が届く方法として、政治家の多くがSNSに参加することを期待しています(選挙戦だけの使用なんてダメですよ)。

◆安倍総理の真の目標は?

これも本書の読みどころでした。
「アベノミクス」にみんなが目をとられていますが、安倍総理の真の目的は憲法改正

これをどうしてもやりたいのですね。
ワタクシ思うのですが、安倍総理って本当は経済のことよくわかってないんじゃないかと。

確かに、リフレ政策を理解しているのなら、このタイミングで増税はないはずです。
それを、やろうとするのは、自分の掲げた政策が矛盾していることになります。

安倍総理にとって「アベノミクス」はただの支持率維持の道具なのでしょうか。

そのへんのところ、政党の戦略、マスコミの意図などに騙されずに、しっかり見抜いていきたいですね。

本書を読んで”見抜く目”を磨きましょう!

本書はイースト・プレス社、畑様より献本していただきました。
ありがとうございました。

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同著者の既刊本の紹介

 

この約4年間、「政治とカネ」の問題に翻弄されながらも政権交代を果たし、今再び少人数の政党を率いて挑む壮絶な政治家・小沢一郎の姿。著者は、批判的なメディアの論評に晒され、固定化されたイメージで語られがちな小沢を、先入観を排して取材してきた。その集大成とも言える本書で、「誰も書かなかった」「誰も知らない」小沢一郎の真実に迫る。

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