世界の博物館、第46号はケニア国立博物館です。
ケニアといえば野生動物の宝庫。
そして、独特なアフリカ文化もアジア人の我々にとっては魅力的ですが、何ものにも代え難い”人類の至宝”がこの博物館にはあります。
【今号の一押し】
人類の偉大な先輩であり、勇敢な旅人であったこの人の化石自体が人類の至宝だと思う。
永久歯と乳歯があるため思春期の始まりの少年と推測される彼は、ホモ・エルガステルの最も良い状態の骨格標本である。
ケニア北部のトゥルカナ湖のほとりで発見されたのでその名がついているのだが、もし成人していれば身長約180センチの大柄な男性になっていたはずだ。
そう、彼らはとても長身なのだ。
暑いアフリカの大地で、体温を放射するために手足が長くなったと考えられているが、それだけが進化の理由ではない。
初期の人類であるアウストラロピテクス類は草食なのに対し、ホモ・エルガステルは肉食を行ったらしい。
彼らの生活した洞窟にはかまどの痕跡もある。
この雑食性と、そして頑丈な長い大腿骨の進化によって、かれらはアフリカの大地からアジア、ヨーロッパへと旅立っていったのである・・・。
ということになっているが、現在生きている我々ホモ・サピエンスとの関係はというと、実はよくわからない。
彼らが本当に我々の祖先なのかどうか?
まだまだ今後の研究や発見が待たれるところであるが、そんなこととは関係なく、彼らの生活を想像すると何となく楽しくなるのはワタクシだけだろうか?
大型の肉食獣がいるアフリカの大地で、彼らは共同で狩りをして、社会を形成して生きていた。
そのこと自体興味深く、また感謝したくなるのだ。
機会があれば大先輩に会いに行ってみたい。
次号は九州国立博物館です。