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強く生きよ!【書評】白取 春彦(編訳)『超訳ニーチェの言葉II』Discover21

おはようございます、お盆休みに充電どころか放電しまくって抜け殻となっている一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、お盆休み中に発売となったあのミリオンセラーの続編をご紹介。
しかもこれ、前作をも凌ぐ跳躍ならぬ、超訳となっております。

 

【目次】
はじめに
Ⅰ 生について
Ⅱ 愛について
Ⅲ 己について
Ⅳ 言について
ⅴ 人について
Ⅵ 知について
Ⅶ 世について
Ⅷ 美について
Ⅸ 心について

【ポイント&レバレッジメモ】
★013 固まれば破滅する

ある民族として固まっている人々が、自分たちの祖先から受け継いできた道徳や宗教、伝統や因習にいつまでもしがみついているならば、彼らはそのことのために多民族の人々のことがわからなくなり、自分たちで小さくまとまってさらに頑迷になり、結局は孤立せざるをえず、そのまま老いてゆき、やがては破滅していくだろう。
もちろん、人もまた同じだ。変身をとげ続けなければ、そのつど高度になっていかなければ、充分にはいきていけない。

★016 人生は生ききる旅路

体験せよ。臆せずに体験せよ。ツーリストのように眺めるだけでその地を去るな。自分の心と体で、深く体験せよ。
体験だけではすまない。心に掘り込め。さらに体得せよ。自分の身につけよ。いや、まだ足らない。身につけたことは一つも余すことなく活用せよ。最後のひとしずくまで。
人生は、おまえ自身が生ききる旅路のことなのだから。

★031 私のモラル

運命愛が、私のモラルである。
あらゆる必然的な事柄から逃げないこと、そのいっさいを受けとめること、そればかりか必然を愛すること。
何が起きても、私はたじろがない。むしろ、私から歩みよる。
私は十全に生きたい。私の最後の愛は必然的な運命に向けられる。

★033 人生はさすらいだ

人生はさすらいだ。いきるということは、さすらっていくことだ。
平野をさすらうだけではない。いくつもの険しい山並みを越えていかなければならない。漆黒の闇を渡り、沢の水で足を濡らし、冷えた星々の下を行かなければならない。
多くの出来事がそこにあり、さまざまなことを体験するだろう。
しかし結局、人はいつもおのれ自身を体験するだけなのだ。自己という人間を体験することが重要なのだ。

★059 自己を超えた目標を持て

きみは、きみの目標をどこに置こうとしているのか。
誰かの目標を真似ているのか。あるいは、少しだけ頑張ればすぐに手が届きそうな場所を目標としているのか。もしくは、ファンタジーに満ちた目標を思い描いているのか。
どういう目標であろうとも、きみの目標は、きみ地震を超え出たところに置かなければならない。しかも、過去の人間たちと連なる道の遥かなる果てに。

★066 理想さえも超えて行け

きみの力のすべてを、きみはまだ知らない。
きみは理想を抱き、そこへと向かっているが、その理想のある場所がきみの限界地点ではない。
きみが持つ力はきみが想像する以上に大きく、きみはまだまだ遠くへ行けるのだ。きみの理想を超え、それ以上の憧れの地よりもさらに遠くへ達する力をきみは極めている。

★106 愛される強者になれ

強者になれ。
愛される強者になれ。
真の強者ならば、敵の失敗を赦す。さらには、敵の勝利をも寛大に赦し、賛美する。

★138 美女と真理

美しい女と真理には共通点がある。
自分の手に入れてしまったときよりも、どうにかして獲得したいと思っているときのほうがいっそう情熱的で、狂おしくさせるものだという点において。

★152 文化は林檎の皮

文化は、林檎の薄い皮のようなものだ。
艶のあるその冷たく薄い皮の下には、赤く燃えたぎる混沌が渦巻いている。

★156 大人の中の子供

子供にとって、遊びは仕事だ。童話は真実そのものだ。
では、大人にとって遊びは仕事ではないのだろうか。童話は現実にはありえない荒唐無稽な夢物語なのだろうか。
いや、そんなことはない。大人もまた大人なりに、仕事という遊びをしているし、子ども時代よりもずっと多くのこの世の物語の中に真実を見つけ、そのために笑ったりないたりして生きているではないか。

★164 敵が現れる喜び

容赦のない敵が現れ、その敵と闘わざるをえなくなる。
そのときにこそ嬉々として闘え。運命が味方しているからだ。運命がおまえに勝たせるためにこの敵を送ったのだ。
おまえは運命の最高級の待遇を受けているのだ。

【感想など】
今回の【ポイント&レバレッジメモ】では、ワタクシが惹かれた超訳をピックアップしました。

もはや説明も必要ないと思われますが、前作のこちら

参考記事

 

www.s-ichiryuu.com

 

以前の紹介記事に書いたように、前作の印象をひと言で言えば、まずは”明るい”ということになるでしょう。。
とにかく”明るい”。

ニヒリズムの印象が強く、最後は狂人となって死んだニーチェだけに、この”明るい”という意外性は強烈なインパクトでした。

そして続編である本書だが、続編という意識は持たずに読んでほしい。
取り扱うテーマが前作とは違うのです。

「はじめに」にも前作との比較が書かれているのですが、

前著『超訳ニーチェの言葉』の基本に流れていたのは、「自尊」「生の歓びの獲得」「自己超克」であった。
本書の底流にあるのは、「生の創造」「苦難の引き受け」「高みへの意志」である。

と、白取先生がおっしゃるように、「人はどう生きるべきか」「人生とは何ぞや」という人生そのものがテーマとなっている観があります。

ニーチェ流成功哲学といってもいいかもしれません。

そして、ワタクシ的に本書の印象を一言で表すと、”強”になるだろうか。

とにかく、強く、気高く、たくましい。

なんだか、あまりにも本書の質実剛健ぶりが凄過ぎて、前作が挨拶代わりの意表をついた変化球、スローカーブだとしたら、本書はバッターをのけぞらせるための顔付近への豪速球。

そんな感じなのです。

「理想さえも超えて行け」「敵が現れることを喜べ」「おまえ自身を生きろ!」

ニーチェという人が、これほど”強い”、”熱い”、そして孤高を恐れず目指して行くことを後押しする人だったとは。

ところがです。
同じく「はじめに」に白取先生はこうも書いてあります。

 当時の人々の残した書簡や記録によると、ニーチェは穏やかな人であった。声の出し方は静かで、物腰も丁重だった。そういう印象を人々に与える一方で、彼は潔癖な心を持っていたようだ。決然とし、燃えるものを抱き、遠くの峰々を凝視していた。

まるで、オリンピックのアスリートみたいではないですか。

試合後のテレビのインタビューに答える無邪気な姿からは創造できない、苛烈な努力を継続してきたことによって高見に達した人たち。

彼らこそニーチェの言う超人ではないかと思ってしまうのです。

もし、あなたがオリンピックのアスリートたちに感動したならば、ぜひ本書を読んでいただきたい。
なぜ、アスリートたちの姿が我々を魅了し、感動させるのかわかるでしょう。

強くいきたいと願うあなたへ、前作とは違うニーチェがここにあります。

本書は、Discover21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
白取先生の既刊本。

 

ソクラテス、仏陀からアラン、ヴィトゲンシュタインまで、哲学はわたしたちが生きるためにどう使えるのか?ミリオンセラー『超訳ニーチェの言葉』の編訳者が古今東西の思想・哲学をもとに贈る人生の教科書。

 

机上の空論あるいは単なる教養としての哲学ではなく、“生きるための哲学”としてのニーチェの思想を『超訳 ニーチェの言葉』の編著者が語る。

 

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