うまい!
この本はプレゼンマスターによる、プレゼンの方法を説明するための、本の体裁をした”プレゼン”である!
【目次】
はじめに3分間で100億円売り上げたプレゼン
プロローグなぜプレゼンがうまくいかないのか?第1部すべてのプレゼンに共通するテクニック
第2部状況別のプレゼンテクニック
第3部詳細なプレゼンテクニックおわりにこれであなたもプレゼンマスター
【ポイント&レバレッジメモ】
★プレゼンで最も重要な点 ⇒「人を動かす」
★プレゼンで「人を動かす」ために重要な3つの点
�誰に・・・聞き手に対する深い理解
�どんな行動をしてもらうのか・・・期待する行動の適切な設定
�そのために何を話すのか・・・話す内容の効果的な設計
★「SCマップ」
①聞き手 ②顧客 ③競合 ④社内 ⑤パートナー ⑥環境の6つの観点から分析し、聞き手を深く理解する
★「BSBの法則」
①大きな行動(プレゼンで期待する最終的な行動)を小さく分解して要求する(Breakdown)
②要求する行動を明確にする(Specific)⇒ 聞き手が何も考えずにすぐ行動できるようにお膳立て
③行動せざるを得ないように圧力をかける(Bias)
★「TAPSフレームワーク」
聞き手の「理想」(To Be)と「現状」(As Is)の間に存在する「課題」(Problem)に対する「解決策」(Solution)という流れで組み立てていく
★気になったプレゼンテクニック(抜粋)
◇何か主張したあとに必ず「具体的には」で始まる一言を入れて説明する
◇説得力は話す内容に関する造詣の深さから生まれる
◇投影用資料と配布用資料を分けて作成する⇒資料作成に手間をかければ、説明の手間が省け、結局は時間の短縮になる
◇あがりやすい人は、あがったまま話せばいい⇒重要なのは効果的なプレゼンができるかどうか
◇つかみ6パターン
①問いかけ ②歴史を語る ③先入観を覆す ④エピソード ⑤調査結果 ⑥ニュース
◇どんな時でも使えるスムーズなプレゼンの進め方
①これから話すことを説明する
②実際に話す
③話したことをまとめる
◇わかりやすいプレゼンの極意
①専門用語は使わない
②比喩や別の表現を使う
③具体例で説明する
◇拍手は必ずしてもらう
終わった時に拍手がないと、聞いている人が、「あれ?このプレゼン、自分は結構いいと思ったけど、ほかの人はそうでもなかったのかな?」と思ってしまう危険がある⇒拍手をされるためには、聞いている人がプレゼンの終了をハッキリと認識し、拍手するための「間」が必要
【感想など】
いや~この著者、うまいです!
何がうまいかというと、この本自体がプレゼンになっていること。
プレゼンで最も重要なのは「人を動かす」こと、というのが本書での著者の主張ですが、この本にはその仕掛けがちゃんとしてある!
たとえば ”はじめに” から
理解していただけましたか?
理解していただけたならば、いますぐこの本を持って、レジに向かってください。買いましたか?
それではこれから、人を動かし、結果を出すプレゼンマスターのテクニックをお教えしましょう。
と言った感じで、のっけから ”お主、やるな” と思わせます。
そして ”おわりに” でも・・・。
まぁそこは“言わぬが花”ということにしておきますが、ビジネス書というのは読んだ人が読後に何か”新しい行動をはじめた”とか、”今までと行動が変わった”といったアクションが伴う、つまり「人を動かす」ものが名著だと思うのです。
そういう観点から観れば、優れたプレゼンとビジネス書の名著は同じ。
(ついでに書評ブログも「人を動かす」という点では同じ。記事を読んでもらったらAmazonリンクをクリックしてもらって・・・ アサマシ)
だから、表現方法が口述からテキストになっただけで、さすがにプレゼンマスターの書いた本は押さえるポイントをしっかり押さえており、テンポも良く、まるでビジネス書のベテラン著者が書いた様だというのがワタクシの素直な第一印象でした。
さて、肝心の中身について。
この手のハウツー本はネタが命。
ネタバレ自重のため今回の【ポイント&レバレッジメモ】では、特にプレゼンテクに関する部分を割愛させていただきました(涙)。
が、これがもう非常に細やかで秀逸。
プレゼンの組み立て方法から、練習方法、体調管理、そして質問の対処法、休憩時間の使い方、ホワイトボードの使い方まで至れり尽くせりの内容。
プレゼンに関するテクニックはこの一冊で網羅しているのではないでしょうか。
一応気になるテクは抜粋させてもらいましたが、これは本書のごく一部。
ぜひ実際に本書を手にして読んでもらいたいです。
ただ、紹介されているテクニックがどれも素晴らしく、すぐに取り入れたくて、そちらにばかり目がいってしまいますが、その点は注意を要すかもしれません。
先述した、プレゼンの目的は「人を動かす」こと、といったように本書で読み取ってもらいたいのは「プレゼンとは何か?どうあるべきか?」といった本質の部分。
例えば、「聞き手に対する深い理解」から本書では説いています。
聞き手の興味は何か、現状はどうなっているか、課題は何か
ここを考えるところからスタートしなければならないのは誰もが気がついているのですが、いざプレゼンを計画すると相手のことより自分(自社)の主張を伝えることを優先させてしまいます。
テクニックはあくまで枝葉の技術。
こういった本質的な幹の部分をしっかり読み取って実践して行けば、それこそ本書のタイトルにあるように
口ベタでも、話の「つかみ」が下手でも、ブサイクでも
「人を動かす」ことができる「魔法のプレゼン」ができるようになるのではと思います。
さて最後に、蛇足ながらワタクシが今までに印象に残っているプレゼン(セミナー含む)を2つほど。
まず一つ目はなんといってもスティーブ・ジョブズ。(もちろん生で観たわけでなく、ネットで観ましたが・・・)
本書でも冒頭部分で”3分間で100億円売り上げたプレゼン”として紹介されています。
彼のプレゼンはワタクシなどがとやかく言うのもおこがましいのですが、何に”凄い!”と思ったかというとそれはハプニングに動じない点。
先日のiPhone4の発表のプレゼン中、Wi-Fiが繋がらないハプニングにみまわれましたが、ステージ上のジョブズは全く動じず。
何事もなかったかのように平然とプレゼンを続けていました。
ワタクシだったら慌てふためくと思うのですが、その沈着冷静振りに感動まで覚えてしまいました。
そしてもう一人は先日大阪でセミナーを受講させていただいた内藤忍さんのプレゼン(講演)。
印象的だったものは、そのパワポ画面のシンプルさ。
一つの画面にキーワードが3つだけ。
それが終始続いて行きます。
パワポを使ったプレゼンでは、やたら表現方法にこだわる人がいますが、キーワード3つだけというなんの飾りもないシンプルさが返って論旨をハッキリさせ、また話を聞くことに集中できるということを発見させていただきました。
もちろん内藤さんの話術の巧みさがあって、初めて成立するテクなのですが。
プレゼンんで悩んでいるあなた、本書を読んであなたもプレゼンマスターになりませんか?
本書は著者の山田進一様から献本していただきました。
ありがとうございました。
【おまけ】
巻末の「プレゼンの参考になるブログ、メールマガジン」に当ブログも掲載していただきました。
このブログが皆さんの参考になるかどうかわかりませんが、紹介していただいて嬉しいかぎりです。
ありがとうございました。
【関連書籍】
上記の内藤忍さんが参考にしたというプレゼン本も紹介しておきます。