小飼弾さんがブログで紹介されていて興味を持ったのですが、この本、実に面白い!
子供向けの本ですが、大人のあなたも楽しめますよ。
【目次】
1章 「ことば」は、どこからやってきたのか?
2章 息をとめられなければ、ことばはしゃべれない
ことばの4条件その1
3章 デグーの「単語」
ことばの4条件その2
4章 ジュウシマツの「文法」
ことばの4条件その3
5章 ハダカデバネズミの「あいさつ」
ことばの4条件その4
6章 ヒトは歌うサルだった?
ミュラーテナガザルの歌
7章 赤ん坊はなぜ泣き続けるのか?
ヒトが息を止められる謎
終章 ことばは歌からうまれた
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★ことばの4条件
1発声練習ができる(すぐにまねできる)
2音(単語)と意味が対応している
3文法がある
4社会関係のなかで使い分けられる
★呼吸をコントロール(息を止める能力)できる動物 ⇒ 発生練習ができるようになった
★人間は「ことば」をもつより前に、「歌詞のない歌」をうたっていたのではないだろうか?
「単語が先にあり、単語を組み合わせていくことによって、ことばができた」のではなく、「歌のような音の流れがまず先にあり、それを切り分けていくことによって、単語ができた」と考えるのです。
★「ヒトの祖先はうたうサルだった」
発声学習ができた人間の祖先は、ミュラーテナガザルのように歌を歌っていたのではないか?2匹のサルがいろいろな状況でうたっているうち、歌の重なり合う部分が切り分けるられた。重なり合った歌の部分が切り出され、意味を持ち、単語が生まれたのではないか?
★「赤ん坊が泣き声で親をコントロールしている」
人類は社会集団を作るようになり、外敵に襲われる危険性が少なくなった ⇒ 赤ん坊が大きな声で泣いても大丈夫 ⇒ 親をコントロールするために、大きな声、いろいろな泣き声でを出す ⇒ 呼吸をコントロール ⇒ 発声学習が可能に
【感想など】
「ヒトの祖先はうたうサルだった」
衝撃的な仮説ですね。
この本、子供向けの本と侮っていたのですが、すいません、実に面白い本なのですよ。
まずテーマが壮大。
そういえば、「道具の使用」「火の使用」「言葉の使用」という人間と動物を区別するときの指標の一つであるにもかかわらず、「言葉はなぜうまれたのか?」って疑問に思っても真剣に考えたことはない。
なぜなら、「そんなこと考えても答え出えへんやん」とはなからあきらめているから。
その答えが出ない謎に、現在生きている動物の観察から仮説を立て検証していく道筋がとても秀逸。
科学的思考方法のお手本なのです。
我々大人が読んでもこの“思考の道筋”は勉強になるし、ましてや子どもとなると言うまでもない。
これは絶対お子さんと一緒に読むべき本です。
さらに、その検証の途中の発見が楽しい。
「息を止めることができないと発声学習ができない」
なるほどそうなんですね。
そう言われれば、うちのワンコが意識して息を止めてるところ見たことないなぁ(そもそも必要がない)。
面白い!
こういう発見があることが科学本の面白いところ。
ビジネス書もいいけど、たまにはこういう知的好奇心をくすぐる本も読まないとね。
お子さんと一緒にぜひ。