<勝負脳>の林成之先生の新刊。
今回は脳に悪い習慣を紹介されていますが、その中にはこれまでワタクシたちが“美徳”としてきたものも・・・。
【目次】
まえがき
「脳トレ」のゲームやドリルで脳を鍛えることはできない
「脳のしくみ」にもとづいた構成だから、悪い習慣がカンタンにやめられる 他第1章脳に悪い習慣① 「興味がない」と物事を避けることが多い
脳は本能に逆らえない
「自分さえよければいい」と思ってはいけない 他第2章脳に悪い習慣② 「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
脳は情報にレッテルをはっていた!
「おもしろくない」「好きじゃない」などマイナスの感情はもつな 他第3章脳に悪い習慣③ 言われたことをコッコッやる
情報はどのように思考に至るのか
脳にとっての「報酬」とは 他第4章 脳に悪い習慣④ 常に効率を考えている
どのように「心」が生まれるのか
思考に欠かせない「ダイナミック・センターコア」とは 他第5章脳に悪い習慣⑤ やりたくないのに、我慢して勉強する
脳はどうやって記憶するのか
悔しい気持ちは脳の力を引き出す 他第6章脳に悪い習慣⑥ スポーツや絵などの趣味がない
脳のさまざまな力にかかわる「空間認知能」とは
姿勢の悪さは脳に影響する 他第7章 脳に悪い習慣⑦ めったに人をほめない
脳はどうやって考えを一つにまとめているのか
「気持ちを伝えられない脳」がある 他「違いを認めて共に生きる」ということ あとがきにかえて
【ポイント&レバレッジメモ】
★脳に悪い習慣① 「興味がない」と物事を避けることが多い
◇脳神経細胞がもつ本能3つ・・・「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」
脳神経細胞の3つの本能のなかでも、脳の思考や記憶に大きくかかわるのが「知りたい」という本能。これは、脳の原点ともいえるものです。
◇ 「知りたい」という脳の本能を磨くには、「興味がない」と考えたり、口にしたりしないことです。
また、人の話を聞いたり、本を読んだりして情報を得るときに、「そんなことは知つている」と斜に構えるのも、興味をもっていないのと同じです。
◇脳の発達による2つのクセ
・「自己保存」・・・「生きていくために自分を守る」
・「統一・一貫性」・・・「脳は統一性、一貫性が保てなくなるような情報を避けようとする」 ⇒ 「正誤を判断する」「類似するものを区別する」「バランスをとる」「話の筋道を通す」といった、プラスの作用をもっています。
「自己保存」や「統一・一貫性」にとらわれすぎると、そもそも脳が情報を取り込むことを避けたり、バイアスがかかったりし、正しい理解や深い思考を妨げてしまう
◇ 「頭がいい人とは、何に対しても興味をもち、積極的に取り組める人のことである」
脳のパフォーマンスを引き上げるには、まず脳神経細胞の本能を磨くことがファーストステップです。興味・関心の幅を広げ、何事にも明るく前向きな気持ちで取り組むことを心がけましょう。
★脳に悪い習慣② 「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
◇脳が考えるしくみにおけるA10神経群の役割をひと言でいうと、「情報に気持ちや感情のレッテルをはること」です。
理解力、思考力、記憶力――みなさんが高めたいと願っている脳の力は、どれも最初の「感情」によってそのパフォーマンスが左右されるのです。一度、マイナスのレッテルをはられた情報は、しっかり理解できず、思考が深まらず、記憶もしにくくなってしまうのです。
一度、A10神経群で「嫌い」というレッテルがはられてしまうと、脳はその情報に関して積極的に働かなくなります。脳の理解力や思考力、記憶力を高めるには、まず「おもしろい」「好きだ」というレッテルをはらなければなりません。「好きになる力」を養うことは、そのまま「頭をよくすること」であるともいえるのです。
★脳に悪い習慣③ 言われたことをコッコッやる
◇自己報酬神経群を働かせるのは、「ごほうびが得られた」という結果ではなく、「ごほうびが得られそうだ」という期待である
◇脳にとってのごほうび・・・「うれしいと感じること」 ⇒ 自分の役に立つことだけでなく、目的や目標を成し遂げたり、人の役に立ったりすることが脳への報酬となる。
◇脳にとって、途中で「完成した」「できた」「達成した」といった言葉は〃否定語〃である
「だいたいできた」ということは、実際は「まだできていない」はずですが、脳は「だいたいできた」という〃否定語″によって、思考することをやめてしまうのです。<略>物事を達成する人と達成しない人の脳を分けるのは、この「まだできていない部分」「完成するまでに残された工程」にこだわるかどうかなのです。
◇なぜ「言われたことをコッコッやる」が脳にとって悪いのか
「コッコッ」や「一歩一歩」には、「失敗しないように慎重に進めよう」という「自己保存」のクセが隠れています。この「失敗しないように」という考えは、「失敗するかもしれない、失敗したらどうしよう」という考えと表裏一体のものなのです。
★脳に悪い習慣④ 常に効率を考えている
◇ 「ダイナミック・センターコア」はA皿神経群や前頭前野、記憶をつかさどる海馬回・リンビック、線条体や視床などを含んだ概念です。脳のなかでは「ダイナミック・センターコア」の複合的な機能によって情報が「思考」にもち込まれ、「考え」や「心」や「信念」といった形のないものが生み出されます。
◇ 「ダイナミック・センターコア」のしくみを知ると、人間の思考とは、くり返し考えることによって高まるものであることがわかります。つまり、すばらしい考え――独創的なアイデアや新たな発見は、何度も何度も思考することによって生まれるのです。
◇ 効率性が過剰に重視され、くり返し考え、吟味することを無駄と考える風潮があるようです。しかし、効率だけを求めていては独創性は生まれません。
★脳に悪い習慣⑤ やりたくないのに、我慢して勉強する
◇ 脳がより思考力を発揮した情報は、より強く記憶に残る
何かを覚えるにはまずA皿神経群でプラスの感情のレッテルをはることが大変有効で、また自己報酬神経群を働かせるために「これを覚えることは自分にとってうれしいことだ」「自分からやってやろう」というスタンスをもつことが、記憶力を高めるということです。
また、3つの記憶(体験記憶、学習記憶、運動記憶)は、「ダイナミック・センターコア」で思考することによって生まれるので、心をこめて行ったことは強く記憶に残るといえるのです。
好きなこと、感動したこと、主体的に取り組んだこと、心を込めたことは、記憶に深く残せます。一方、「我慢して勉強している」という状態では、どんなにがんばっても、脳がもっている記憶力は働かないのです。
★脳に悪い習慣⑥ スポーツや絵などの趣味がない
◇ 「空間認知能」・・・空間のなかで位置や形などを認識する知能。
空間認知能は人間が思考するときや身体を動かすシーンで重要な役割を担っています。脳全体の機能にかかわるものであるといっていいでしょう。
物事の認識や判断、思考、記憶などでも空間認知能の働きが必要であるため、空間認知能が低い人は、認識を誤ったり、記憶がなかなかできなかったりします。
◇ 「空間認知能をダメにする習慣」
・姿勢の悪さ
・スポーツで身体を動かす習慣がない
・字を雑に書く
・寡黙でいる など
★脳に悪い習慣⑦ めったに人をほめない
◇ 人をほめると脳が喜ぶ
同期発火を起こすポイントは、プラスの感情を込めて人に伝えることと、相手の自己報酬神経群を活性化させることにあります。
これをふまえると、コミュニケーション力をアップするには「うれしそうに人をほめること」が有効ということになります。集団の和を重んじる日本では、人前で誰かを力強くほめることが少ないように思いますが、私は脳のしくみにもとづいて「意識的にどんどんほめること」をおすすめしています。
【感想など】
当ブログではすっかりおなじみ(?)の林成之先生の新刊です。
【参考記事】
今度はビジネス!【書評】林成之(著)『ビジネス<勝負脳>』(ベスト新書)
「笑顔を大切に、すごいことをやろう」【書評】林成之(著)『望みをかなえる脳』(サンマーク出版)
勝負脳とは成功脳【書評】林成之(著)『<勝負脳>の鍛え方』(講談社現代新書)
林先生といえば超一流の脳神経外科医ですが、ワタクシのようなビジネス書好きの間では“勝負脳”というキーワードで有名な方。
脳の性質から、「一気に駆け上がる」ことがベストパフォーマンスを生むという考えのもと、日本競泳陣のメンタル面を指導した結果、北京オリンピックでの競泳陣の目覚ましい活躍は記憶に新しいところです。
で、その林先生が今回はちょっと目先を変えて、「こういう習慣は止めたらもっと脳が活性化するよ」という視点で7つの習慣を紹介しているのが本書です。
ベースとなるのは脳の本能である次の3つ 「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」
それに、「自己保存」・「統一・一貫性」という脳の2つのクセ。
これら脳の性質を知った上でうまく脳を使っていこうというのが本書なのですが、小難しいことは抜きにしてとにかく読んでみることをお勧めします。
「ああやっぱりそうなんだ」と納得する事や、世間一般的には“いいこと”と思われていることでも実は脳には悪い習慣だったという「えっ、そうなの?」的な発見が続々登場。
まずは“納得”の部分から。
ことわざに、「好きこそものの上手なれ」というのがありますが、これって脳の性質からみても真実!
脳は物事に「好き」「嫌い」のレッテルを貼る性質があり、さらにそれが後々記憶やパフォーマンスに影響を与える。
だからまずは「好き」になること、「興味を持つ」ことが重要。
これは誰でも経験ありますよね。例えば学校の勉強なんかがいい例で、興味がないもの、嫌いなものってなかなか覚えられません。
うちの息子はポケモンの名前と得意技はすぐ覚えるのに漢字が苦手。
時々漢字ドリルで傑作回答を編み出します。
例えば、
そうちょう会議を漢字で書けという問題で総長会議と答えましたから。(←何やら物騒な会議ですなぁ。それに早朝のほうが簡単な漢字かと)
ここでちょっと注意してほしいのですが、好きな物なら何でも得意になるかというとちょっと条件があったりします。
皆さんは担当の先生が嫌いだったからもともと好きな科目が嫌いになった経験はありませんか?
ワタクシの場合は今でも歴史好きなのですが、日本史の先生が苦手で日本史自体が嫌いになったことがあります。
人間的にはいい先生だったのですが、授業が面白くない、板書を中心から放射状に書くのでノートが取りずらい(←今思えばマインドマップの先駆けか?)、しかも達筆すぎて字が読めない(書道5段)、ホームルームの時間まで日本史の授業をする(他のクラスはレクやってたりするのに)。
さらにこの先生が高校2~3年の2年間、ワタクシの担任でした。
もう、日本史の時間が嫌で嫌で、結局他の科目を内職しておりました。
多分似たような経験が多かれ少なかれ誰にでもあると思うのですが、これって結構深刻な事態を招きます。
というのも、この経験をビジネスの現場に置き換えると、
「好かれない上司や指導者では、チームとしていい結果を残せない」 ということ。
ただ、上司は部下のご機嫌をとらなければならないのかといえばそうではありません。
林先生が提唱する脳の性質・本能に基づいた最高のパフォーマンスを発揮するチーム作りの方法も本書に書かれていますのでそこをお読みください。
それから「えっ、そうなの?」の部分。
「コツコツがんばる」
「上司には素直に従う」
「“ここぞ”というときに緊張するといけないので、リラックスする」
「記憶したいときは、言葉をくり返し唱えて覚える」
といった、「よかれと思ってやっていた、実は悪い習慣」も多数紹介されていて、なぜよくないかもしっかり解説されています。
一つ一つ紹介するとネタバレになってしまいますので自重しますが、
とくに「コツコツがんばる」が脳のパフォーマンスを下げるというのは驚きとともに目からうろこ。
ワタクシたちは「不断の努力」というものが成功のカギだと信じて疑わない社会で生きて来たのですから、この部分の解説は必読です。
このほかにも
残念ながら、「気合だ!」といくら叫んでも、自己報酬神経群は刺激されず、結果を生むための「思考」や「心技体」につながらないのです。
といった、ちょっとあの父さんの顔が浮かんで笑ってしまう文章も登場しますが、「そういえばあの親子、優勝できなかったよな」と妙に納得。
脳の性質をしっかり知った上でこれからの人生・仕事の戦略を練ってみてはいかがでしょう。
まず己を知るということで必読かと。
と、言われて興味を持てないあなた、それは脳の危険信号かもしれませんよ(笑)
最後にこの言葉
「頭がいい人とは、何に対しても興味をもち、積極的に取り組める人のことである」
納得。
【関連書籍】
この本すごく面白そうですね!
とはいえ、読まなくても書評だけでおなかいっぱいでした^^
意識してほめる。実践していこうと思います。
私はipod touchを導入しましたが、無線LANを使用すると、とてつもないツールになりますよ!!
ブログを移動中に読めるようになったりするのでオススメです^^
林先生の本はオススメですよ。
ぜひ読んでみてください。
私はiPhone使ってます。
使い始めて生活が変わりましたね。
これさえあれば何でもできるって感じで。
ただ、欲を言えば外付けのキーボードが欲しいです。
あと、無線LANは田舎なものでほとんど使える場所もなく、というか無線LANが近所に存在しているのかどうかも分からない・・・、IT格差だ!