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あなたは「可愛げ」のある上司ですか?「稼げる部下」に育てるためのポイント【書評】高濱正伸『部下は徹底的に可愛がれ!』日本能率協会マネジメントセンター

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おはようございます、一龍です。

今日はどうも部下としっくりいっていないという上司の方へ読んでほしい本をご紹介。

「優秀」でない人でも「稼げる部下」に育てる方法とはいかに?

はじめに

本書の著書、高濱正伸さんは、学習塾「花まる学習会」の代表。

下のグラフでもお分かりのとおり、

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少子化の中、生徒数をどんどん伸ばしています。

その成長を支えているのは”人の力”、すなわち優秀なスタッフなのですが、「花まる学習会」の強みは部下を育てる仕組みにあるのだそうです。

つまり、「優秀」でない人でも、一人前の「稼げる部下」に育てる仕組みが「花まる学習会」にはあるのだとか。

その、仕組みの一端をご紹介しましょう。

ポイント

★採用基準は「愛され感」があるかどうか

当社では、次のような基準をもって採用に取り組んでいます。
・愛され感がある人
・可愛げがある人
・達成経験、成功体験がある人
・素直さがある人
・レジリエンス(立ち直り力)がある人
特に重視するのは、「愛され感」。
知識やスキルは後からいくらでも身につけることができるものですが、「愛され感」は、一朝一夕で身につくようなものではない、もっと人として根源的なものです。<中略>
愛され感を重視する理由は二つ。まず、愛された経験に乏しい「愛され感」がない人は、自己肯定感が低く、何かあると”ぽっきり”折れやすいから。そして、愛されてこなかった人は、残念ながら他人を愛することが難しい場合が多いからです。

仕組みで人を育てるといっても、どんな人でも「稼げる人」に育てられるわけではありません。ちゃんと採用時にふるいにかけているわけですが、採用基準で最も重視しているのが「愛され感」があるかどうかというのは驚きました。
しかし、仕事はチームでするものということを考えれば、これは当然求められる資質なのです。

★「優秀さ」から「可愛げ」へ  部下に求めるものを変えよう

 大切なのは、「優秀さ」よりも「可愛げ」です。可愛げがあればみんなに愛されます。

 そもそも、人として生まれて完壁な人など、この世にいません。みんな、何かが優れていて何かが足りない。そういう得手不得手がある人たちがつながり合って、がんばっていく。それが社会というものです。

 たとえ優秀じゃなくても、仕事ができなくても、誰かが「この人の味方になろう」と思ってくれればそれでいい。むしろそれが人としての魅力、強さではないでしょか。

 スキルというのはあとから身についていくもの。教えたくなる、助けてあげたくなる「可愛げ」のあるなしは本当に人生を左右すると思います。そしてこの「可愛げ」というのは生まれつきのものではなく、ちょっと気をつければ身につくものです。
そのキーポイントは「素直さ」と「謙虚さ」なのではないでしょうか。

★言葉にする力を伸ばす

「言葉にする」とは、他人が言っていることや書かれていることをちゃんと理解してポイントをつかめるようになること。それから、自分の考えをわかりやすく相手に伝えることです。<中略>
この言葉にする力——感じて、考えて、言葉にする力——が身につくと「会った瞬間に認められる人」になります。<中略>
仕事は、言葉と言葉でやりとりをすることです。

「花まる学習会」では日報を使って「言葉にすること」「発見し考えること」の力を養っているそうです。日報は正直面倒くさいものですが、書けない人にとっては、これまでいかに「何も考えない人生」を歩んできたかを突きつける材料にもなるとのこと。自分を見つめなおすのに一番いい方法なのですね。
もちろん上司もこの言葉にする力は磨かなくてはなりません。

★可愛がられる力を教え込む

「可愛がられる力」とは、「この人を応援したい」「協力したい」と思ってもらえるような魅力のことです。<中略>可愛げのある人は、ちょっと失敗してしまったとしても、なぜか許されます。失敗しても、約束を忘れても、「しょうがないな〜」と言われながら応援してもらえるのです。<中略>
「可愛げ」を身につける上での一番のハードルはプライド。それは、「自分は優秀だ」と信じて疑わず、それを誇示したいと思う欲求です。<中略>
では、どうやったら部下の優秀さ・プライドを叩き壊して「可愛げ」を育てられるかですが、まずは上司自身が部下を可愛がってあげることが大切です。<中略>
可愛げがない人は、「可愛がられ下手」です。
可愛げがある人は、「可愛がられ上手」です。
「可愛げ」育成のスタートは、まずは上司が部下自身に「可愛がられる経験」を積ませることです。

とにかく新人は「素直さ」と「謙虚さ」を身につけていさえすればやっていけると思います。基本的に人間というのは教えたがりですから、素直に聞いてくれる人にはついつい教えてたり手伝ったりするものです。新人のうちはつまらないプライドなんて捨ててしまうことです。
そして上司は・・・、できるだけ早いうちにガツンといってプライドをへし折るのです。

★思い浮かべる力を鍛える

 思い浮かべる力とは、目に見えないもの、相手の喜怒哀楽や心理状態をイメージすることです。<中略>相手がもっている言葉にできない気持ち、想い。それから敢えて言葉にしないものもあるでしょう。それらを思い浮かべて理解する力。これは、「相手の立場にたつ」「他者性をもつ」ということです。<中略>
当社でも、入社後、まずは研修をします。当社の場合、お客様は子供とお母さんです。そこで、「お母さんの特徴」や「子供の特徴」について、「お母さんとは〇〇である」「子供とは〇〇だ」と事例を含めて座学で教え込み、テストもします。<中略>
たとえ机上でも一応学んでおくと、現場で実際に子供やお母さんと接するうちに、段々と自分のものになっていきます。

この手の研修は受けたことがありません。最終的には経験から学んでいくスキルなんでしょうが、机上と言えどもあらかじめ知識があるとないとは全然違います。ビジネスの現場はある意味「俺が俺が」の世界ですし、それも大切です。しかしその中でもしっかり「慮る」という研修を用意しているところは素晴らしいと思います。

★会社の常識、文化を徹底する

 会社に入社するということは、外国に行くのと同じです。これまでとは全く違う世界に飛び込むこと、その国の人になるということです。<中略>
新しくやって来た人たちにとって、いくつか壁があるのは当たり前。文化が違うから「常識のギャップ」を埋める必要があるのです。<中略>
だkら、部下に対して当たり前のことをしっかりと伝え、叩き込むこと。当たり前のことが当たり前にできるようにすることは、部下たちの居場所づくりを手助けすることにもなるのです。<中略>
論理的に考えてその指摘が正しいか正しくないか、というのが問題ではないのです。入社間もない人が、上から目線でアレコレ言っても、耳を傾けてくれるでしょうか。1度、入社した以上、まずは「そういうもの」として受け入れること。これが大切なのです。そうでないと、仲間として受け入れてもらえません。

「文句があるなら実績を残してから言え!」というのはある世代以上の人たちには常識だったはずですが、いつの間にか消えてしまったようです。「郷に入らば・・」をしっかり意識させるのも上司の最初の一歩です。

★花まる流「新人21か条」——当たり前のことこそ言語化しよう

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上記の「会社の常識、文化」を徹底させるために有効なのは、明文化することです。
明文化していれば、「知りませんでした」「教えられていません」などといった言い逃れはできません。
ただし、上司も”言い逃れ”できなくなりますから覚悟をもってあたらなくてはなりません。

感想

◆「部下は徹底的に可愛がろう」と、覚悟を決める

いかがだったでしょうか、本書前半部分からいくつかポイントをご紹介しました。

「可愛げ」を身につけさせるなんて、「そこまでしないといけないのか!?」とお思いでしょう。
私も最初本書を読んだときはそう感じました。

だって、「仕事は自分で覚えるもの」「技は盗むもの」という仕事観が当然の世代ですから。

でも、その仕事観で上司になり、部下をもつと「面倒見の悪い上司」「なにも教えてくれない上司」のレッテルを貼られることになる時代なのです。

私も新人教育を命じられたとき、ある重要な書類作成について、「一緒に作成しながら順を追って説明するから先走るな」と言っているのに先走って失敗した新人がいました。

その新人がミスに対して「すいません」と言うのかと思いきや、「なんで先に教えてくれなかったんですか!」と起こりだしたのにはあいた口が塞がりませんでした。

が、そんなもんなのでしょう。
部下を持つ皆さんへ、

それでも、ここでハッキリと言います。
部下を可愛がること、それがあなたの仕事です。

と、本書の言葉を贈ります。
もう覚悟を決めるしかないのです。

◆「可愛がる」とは?

さて、本書でいう「可愛がる」とは、当然ながら部下を甘やかすことではありません。
でも、難しく考える必要はないようです。

「可愛がる」とは、存在を気にかける、放っておかないこと。要は愛情をもって接するということです。

要は「愛情をもって接する」ということ。
「その人のために」の視点、「育てる」といった観点があるかどうかなのでしょう。

世の中には「ブラック企業」と呼ばれる会社がありますが、一般の企業でもかなりの仕事量やノルマを課せられるもの。

ではブラックか否かの違いは何かと言えば、使い捨ての道具として扱われるか、自己の成長につながる教育的要素を感じられるかの違い。
その差は紙一重ではないでしょうか。

そしてその紙一重でどっちに転ぶかの重要なポイントを握っているのが上司なのです。

◆(男性)上司にとっての女性部下

ところで、男性上司の皆さん、女性の部下とうまくいってますか?
私は結構苦手でした。

男同士だと体育会系のノリで付き合えるのですが、女兄弟もいない私は正直言ってどう接していいかわかりませんでした。

で、この難題(?)について、本書の後半で取り上げてくれています。

実は本書のキモは後半です!
詳しくは本書でご確認いただきたいのですが、

・清潔にするだけで「まぁ許せるかな上司」になれる
・「許せないボックス」に入れられたらいっかんの終わり

等々。

そして、

女性の気持ち・能力を最大限に引き出すために必要なものが、上司側の「可愛げ」

というのですから、とにかく面倒くさい・・・。

しかし、もしあなたが今現在女性部下とうまくいっていないのであれば、本書は重要なアドバイスとなることまちがいなし。

大変な時代になったものですが、ともあれ、まずは一読。
そして、覚悟を決めましょう。

本書は日本能率協会マネジメントセンター様よりご恵贈いただきました。
ありがとうございました。

目次

はじめに
第1章 部下は徹底的に可愛がれ!  稼げる部下を育てるために本当に必要なこと
第2章 花まる流!稼げる部下を育てる5つの基本
第3章 花まる流!稼げる部下を育てる勘どころ
第4章 花まる流!よくある悩みの処方箋

関連書籍

本書内で紹介引用されている本。

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