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生涯恋愛現役、パリのマダムたちの恋愛観のポイント

おはようございます、一龍です。

今日ご紹介するのは『生涯恋愛現役 女のセンシュアル・エイジング入門』 という本ですが、昨年の春に

『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』というタイトルで出版され話題になった本が新書版(Discover21社さんでは携書といいます)となって再出版されたもの。

僕は『パリのマダム〜』は未読だったため今回はじめて読んだのですが、いろいろな意味でショッキングな本でした。

今回は本書に登場するパリのマダム(男性も含む)たちの恋愛に対する証言から印象的だったものをピックアップしました。

恋愛の本場(?)パリの人達はどんな恋愛観、人生観を持っているのか?
お読みください。

 

生涯恋愛現役、パリのマダムたちの恋愛観のポイント

★フランス的な”純愛”って何だか分かるかい?

 

「宮廷時代から続くフランス的な”純愛”って何だか分かるかい?不倫?いや、とても、そんなひとことでは片づけられない」(ミッシェル、53歳、社会学の大学教授、同棲中の恋人あり、子ども3人)

著者によると、フランスにおける愛の基本形は、おそらくは12世紀の騎士が自分より身分の高い既婚者の貴婦人に捧げた”純愛”へと遡ることができるそうです。

が、これって不倫ベースの恋愛ですよね。

その後、17〜18世紀にかけて優雅で洗練された宮廷文化において不倫ベースの”純愛”は日常茶飯時になったようですが、こういった歴史的バックボーンを備えたフランスですから恋愛の形態も複雑多様。

 男性も女性も、不倫(とはいえ「浮気」というより基本「本気」)の末、家庭が壊れるのもさほど厭わないため、男女のカップルの流動性はとても高い。

そうです。

もっとも、これには、フランス社会では不倫される側にも責任があるという考え方が一般的であったり、多くの女性が経済的に自立しているとか、婚姻子と婚外子との間に、社会保障上、社会身分上の差異がないといった事情もあるようです。

いずれにしても、結婚したからといって安心していたら、誰かにパートナーをさらわれてしまうという緊張感が常に存在する、恋愛弱肉強食世界のようです。

★生涯恋愛?そんなの当たり前じゃないの?

 

「生涯恋愛?そんなの当たり前じゃないの?秘訣を教えろといわれてもね、それが世界標準だと思っていたからね」(クロード、64歳、アパレル経営者、既婚、子ども3人、もうじき孫ができる) 

まぁ、恋愛大国で育てば、生涯恋愛が世界標準と思うのも無理は無いでしょう。
そしてあながち間違いではないと思います。

というのも、多民族国家はどうしてもお互いの気持の確認が”言葉”によるのは自然なことだからです。

 ロジックとフィロソフィとエクスプレッションの国、人種も入り混じるフランスでは、察する、推し量る、空気を読む、一を聞いて十を知る、といったことへの依存はまったくなし。互いに告白してカップルになったのだとしても、毎日それこそ間断なく、「愛してる」という”言葉(=エクスプレッション)”で愛を伝え、確認します。

日本のような環境のほうが特殊なんでしょうね。

”言葉によるコミュニケーション”が基準なのは欧米全般のことだそうで、そういえば洋画を見ていても電話を切る前に「愛してるよ」とか言ってますよね。

日本式か欧米式か、どちらも一長一短があるでしょうが、日本では例えば妻にしょっちゅう「愛してるよ」とか言っても、「アホちゃう?」「キモッ!」って言われるのがオチですね。

★妻はいるけれど、何の問題もないから

 

「フランス男についてもっと知りたい?それなら、ぼくとつき合うといいよ。妻はいるけれど、何の問題もないから」(クロード、64歳、アパレル経営者、既婚、子ども3人、もうじき孫ができる)

前出のクロードさんの言葉。

ああもう、今日本でこんなこと言ったら間違いなく言われますよ

「ゲス野郎!!」

って。

女性を誘うのが礼儀だし、女性からの誘いを断るのは礼儀に反する、という超肉食人種

であるフランス男にとってはこういうセリフは当たり前なのかもしれませんが。

たとえフランス男だとしても、このセリフを言われたら日本人女性はどう思うんだろう?

★彼は88歳、母は82歳よ。素敵でしょう!?

「うちの母がね、亡くなった父の親友とつき合うようになったの。いまでも週に1回は愛しあうっていってたわ。彼は88歳、母は82歳よ。素敵でしょう!?」(レティシア、50歳、銀行員、離婚調停中、子ども2人、恋人と半同棲中)

かっこいいなぁ~。

本書の『生涯恋愛現役』というタイトルからして、一番本書らしいセリフですが、僕も本書中に登場する数々のコメントの中で一番印象的でした。

日本でも最近は高齢者の恋愛が増えているそうですが、まだまだ社会的なハードルが高いようですね。
社会的な理解とか、遺産相続をどうするかという家族の中での問題など。

僕自身、上記のセリフはかっこいいなぁと思いますが、実際に自分の親がもし80歳超えて恋愛してたらちょっと複雑な心境になるでしょう。

これからますます高齢化社会になっていくわけですが、社会的にも心理的にも高齢者の恋愛がもっとオープンになっていくと、「歳を取るもの悪くないなぁ」と思える、老人にも明るい社会になるかもしれませんね。

★自信がないマザコンの証拠だね

 

「日本の男性のロリコンは有名だよ。とにかく、若い女の子が好きだね。自信がないマザコンの証拠だね」(アラン、58歳、美容外科医、子ども2人、恋人と半同棲中)

このアランさん、日本でも長く暮らしたことのある日本語ペラペラの医師だそうです。

言われてみればたしかに日本の男性は若い子を追いかけますよね。

で、どうしてロリコンがマザコンと結びつくかというと、日本男性にとって無償の愛を注いでくれる母親が女性の理想像なのだそうです。

しかし、

 年上や同年代の、精神的に成熟した女性を相手にする場合、おのずと自立した人間として1対1で退治しなきゃいけない。そこで、自分をきちんと表現できないリスクは、若い子を相手にするよりずっと高まる。

つまり、年下の若い成長途上の女性とつき合えば、彼女をがっかりさせるというリスクが減るわけです。
同年代や年上の女性だったらバカにされかねないようなレベルの教養や経験談でも、感心して聞いてくれる若い女性は一種の”母親”なのです。

言われてみれば納得する部分はあります。

ただね、アランさん、日本の男をあまり見くびってもらっては困りますし、日本の女性にも失礼ですよ。

自分の言いなりになるような何も知らない女性に魅力を感じるような男は大したやつじゃないですし、それを日本の女性もしっかり見抜きますよ。

★香水しかつけないで寝るのは、マリリンの専売特許じゃないわ。

 

「香水しかつけないで寝るのは、マリリンの専売特許じゃないわ。フランス女性ではごく当たり前のことよ」(ヴォロニック、ランジェリーショップのオーナー)

本当にフランス人の多くは日常的に真っ裸で寝るそうです。

さすがは愛と官能の国。

下世話な私は「パリって冬寒いでしょ」とか、「裸で寝てるときに地震がきて家が倒壊したら、救助されるとき恥ずかしい」とか考えてしまって、これではまったくダメですね。

★私は2つのときにしか、シャンパンを飲まない。恋をしているときと、していないとき

 

「私は2つのときにしか、シャンパンを飲まない。恋をしているときと、していないとき」(ガブリエル・ココ・シャネル)

これ読んだときにかっこいいなぁと思いつつも、「結局いつも飲んでるんやないか」と突っ込んでしまいました。

本書によるとシャンパンは恋人との甘い夜には必須うアイテムだそうです。
というのも服にかかってもベッドでシーツにこぼしてもシミにならないのだとか。

そういえば007シリーズでボンドは女性と寝室では必ずシャンパンを飲みますよね(もちろん彼はイギリス人ですが)。

日本の男性諸氏も女性との特別な夜はシャンパンをチョイスしてみてはいかがでしょう。

ちなみに

「女性が飲んで、美しくいられるのはシャンパンだけなのです」

と、ルイ15世の寵姫ポンパドール夫人は言ったそうです。

★インテリ女は色気がないなんて、日本男性は不思議なことをいうね

 

「なぜ、木陰で本を読むのかって?だって、セクシーに見えるでしょ?インテリ女は色気がないなんて、日本男性は不思議なことをいうね」(マドレーヌ、38歳、会社員)

いえいえ、日本男性ですが僕は気づいていますよ。
当ブログの週次レビューのキャッチアイ写真は本を読んでいる女性の写真を使っています。

読書にふける女性ってなにか色気があると思いませんか?
もしかして僕の感性はフランス人に近いのでしょうか?

ともかく、欧米では、インテリジェントであることがセクシーの条件の一つだそうです。

教養、知識、ユーモアのある洒落た会話ができるのがセクシーであることの大きな要素なわけですから、心も感性も豊かにしてくれる読書は、実は、欲望と快楽の最強のツール

なのです。

★いったいあなた、何年”女”やっているの?

 

「メディアなんかの美容情報に振り回されてるわけ?それはダメよ。自分の身体のことは自分がいちばんわかっていなくちゃ。いったいあなた、何年”女”やっているの?」(サラ、51歳、ジャーナリスト、49歳で再婚、子ども2人)

美容ジャーナリストのサラさんだからでしょうか、「何年”女”やっているの?」という言いっぷりがいいですね。

もう少し彼女の意見に耳を傾けると

「まず、メディアの情報には常に”懐疑的”な姿勢で臨むこと。ネットに飛び交う一見そそられる情報はいうまでもなく、たとえ紙に印刷されているものでも、基本的に疑うことから始めてみて。情報源はどこか?誰が責任をもって発信しているのか?情報発信者は教育を受けた専門家なのか?エビデンスはあるのか?そのうえで信頼するにたる情報かどうか、よく吟味するべきよ」

とおっしゃっています。

これはもう、美容云々ではなくて、パリのマダムの生き方の姿勢を表現しているような気がします。
インテリジェントで自立した女性とうどうあるべきか。

「何年”女”やっているの?」という言葉には、そんな背景が凝縮されているように感じました。

★日本女性の子供っぽいネイルアート、わたしには理解できないわ

 

「日本女性の子供っぽいネイルアート、わたしには理解できないわ」(フランソワーズ、55歳、ネイリスト)

多くの日本の女性を敵に回してしまいそうですが、この意見に僕は激しく同意します。

手って、体のパーツの中でもいろいろな感情を表すものだし、色気も発するパーツであると思います。
なのに、せっかく綺麗な手をしているのに、指先にキラキラゴテゴテと人工物をくっつけて、台無しにしている女性多いですよ。

カフェやバーでよくある口説きの場面、「きみってキレイな手をしているね」といって、さりげなく手に触れられたりするとき、そこで相手の感情に寄り添うようなネイルこそが、パリのマダムのネイルです。

フランソワーズさんは言います。

 「日本人はじめアジア人は全般に指が華奢で、爪は縦長で美しいシェイプをしているの。それを活かすデザインをするといいわ。自分の好みや”kawaii”スタイル優先もいいけれど、わたしだったら男性受けをするネイルを徹底的に考えるわ」

日本の女性の皆さん、いかがでしょう?

感想など

 

◆センシュアルと粋は通じる

本書冒頭部分でセンシュアルという言葉が登場します。

「セクシュアルな人は、いっしょにいたいのはベッドの上限定だが、センシュアルな人というのは、世界のどの場所でもこの人とずっといっしょにいたいと思わせる人」

イネス・ド・ラ・フレサンジュのこの言葉がセンシュアルの本質をよく表していますが、セクシャルに比べて、野性的、原初的な観念から生まれるもので、内面的要素を多く含んだものといえます。

そして著者によるとセンシュアルは日本の粋の文化と通じるところがあるといいます。

ただし、根本的な部分が通じていても、体現される場合はフランスと日本のそれはまったく違った文化となっていることもまた、本書から理解できます。

◆異文化理解のためのナマの教科書

それは仕方ないことでしょう。

上記したように中世の騎士道とキリスト教文化の中で育まれた”純愛”を歴史的ベースにしたフランスの恋愛事情と、朱子学と武士道を歴史的ベースにしている日本のそれとはまったく違ったものとなってしまうのは当然。

また、今回本書を紹介したからといって、「日本もこういう恋愛大国を目指そう!」と僕はいうつもりはありません。

日本の奥ゆかしさも大切な文化で、どちらが優れているかといった比較はまったく価値が無いことですから。

ただ、昨今の有名人の不倫騒動に対する一億層批判みたいな空気に触れると、「フランスのようにもっと恋愛におおらかでもいいんじゃない」と思うのです。

また、フランスの政治家の女性スキャンダルに対する国民の姿勢などを見ると、ある意味「大人だなぁ」とも思います。

女性スキャンダルが発覚して数十日で退陣に追い込まれた宇野総理なんていたなと。

こういう事例を考えたとき、恋愛事情って異文化理解のための一つ指針となるんじゃないかと気が付きました。
本書を読んでいると、パリジャンの息遣いも聞こえてくるようです。

まあ、とてもクロードさんのようには成れそうにないけど(というか、なるつもりもないですが。僕は日本男児として生きていきます。)、フランス男の心意気もなかなか”粋”なんだと(そして大変そう)感じました。

パリのマダムの愛と美について、そしてパリジャンたちのナマの文化を理解したいならオススメの一冊です。

本書はDiscover21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

Prologue はじめに
Chapter 1 恋愛至上主義
Chapter 2 美と誘惑の必需品
Chapter 3 愛と官能の美容
Chapter 4 欲望と快楽のパリ案内
Epilogue おわりに

関連書籍

先述したように本書は下の本

の新書版です。
豊富なカラー写真が掲載されている『パリのマダムに〜』も魅力的な本ですので、こちらもオススメ。

また、男性向けの姉妹本、

も発売されています。

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