おはようございます、一龍です。
以前、『ビジネススキル大全―――2時間で学ぶ「成果を生み出す」全技術』を紹介する際に、著者の藤井孝一さんのインプット術について触れました。
このエントリーで紹介したのが『本を読む本』 で推奨されている読書術、読書の第二レベルの「点検読書」です。
上記のエントリーでは簡単に説明しただけだったので、今回はもう少し詳しく紹介したいと思います。
読書の第二レベル、点検読書のポイント
★読書の第二レベル、「点検読書」
『本を読む本』 では、読書を3つのレベルに分けています。
「初級読書」「点検読書」「分析読書」の3つです。
実際にはさらに上級の第4レベルというべき段階があるのですが、前出の藤井孝一氏によれば第二レベルの「点検読書」でビジネスパーソンは十分だとのこと。
それに実際の仕事上、「点検読書」のスキルが一番使われるといいます。
では「点検読書」とはどのようなものなのでしょう。
これから説明していきたいます。
★点検読書1 組織的な拾い読み、または下読み
「点検読書」とは、
ここに1冊の本があり、ひとりの読者がいるとしよう。その読者が最初にすることは何か。
自分がその本を本当に読みたいのかどうかも、その読者は分かっていない。また、念を入れて分析的に読むだけの値打ちがあるのかどうかもわかっていない。だが、どうやらその本は、価値のある情報やものの見方を教えてくれそうだ。しかも時間がない。わずかな時間内に本の品定めをしてしまう必要がある。こういう時にしなければならないのが、下読みである。
つまり読む価値が有るかどうかの判定のことです。
その方法はまず次の4つの段階があります。
(1)表題や序文を見ること。
どちらも素早く読む。サブタイトルなど、その本の目的や取り扱う範囲、著者のものの見方などを示すものにはとくに注意する。こうして本の主題を早くしてしまう。
(2)本の構造を知るために目次を調べる。
ドライブに行く前に道路地図を調べるようなつもりで、目次をみるとよい。
(3)索引を調べる。
索引のない本もあるが、知識を伝える本にはたいていついている。索引で、その本の題目、範囲、引用文献をざっと調べる。索引に出ている重要な術語については、該当ページを2,3カ所開いて読んでみる。どの術語が重要かは、すでに目を通した目次や表題からつかんだことをもとに、自分で判断すべきである。参照個所としてあげられているページの数が多いほど、重要語と考えてよい場合もある。こうして見ていくうちに、あるいは著者の見方の新しさを示す記述にぶつかるかもしれない。
(4)カバーに書いてあるうたい文句を読む。
たいていは著者自身が出版社の宣伝部の知恵を借りて筆をとったものである。著者がここで自分の本の論点をできるだけ正確に要約していることも珍しくない。
ここまでの4つの手順を踏んで、この本を入念に読むか、あるいは読まないかの判断をします。
読むと判断した場合、さらに次の手順に進みます。
(5)その本の議論のかなめと思われるいくつかの章をよく見ること。
全般の内容が漠然とわかってきたら、そういう章のはじめや終わりには要約がついていることがあるから、これをよく読む。
(6)ところどころ拾い読みしてみる。
せいぜいパラグラフを1つか2つ、長くても2,3ページぐらいずつでよい。本全体を拾い読みする。どこかに大切なことが書いてないかたえず気を配り、内部に脈うつ鼓動に耳を澄ます。とくに最後の2,3ページは必ず読む。結びの部分がある場合は、その前の2、3ページがこれにあたる。この最後の数ページで自分の仕事の新しさ、重要さを要約する、という誘惑に勝つことができる著者はめったにいない。だから、たとえ作者の自己評価が間違っていても、この部分を見逃すという手はない。
★点検読書2 表面読み
上記の手順を踏んで、いよいよ読み始めるわけですが、読み始めた本が難しい場合どうすればいいかというアドバイスもされています。
正しいやり方で近づけば、専門書でない限り、たとえどんなに難解な本でも読者を絶望させるようなことはない。
正しい近づき方とは何か。それは、次の規則を守ることである。難解な本にはじめて取り組むときは、とにかく読み通すことだけを心がける。すぐには理解できない箇所があっても、考え込んだり語句調べに手間取ったりしていないで先に進むのである。理解できることだけを心にとめ難解な部分はとばして、どんどん読み続ける。脚注、注解、引用文献もここでは参照しない。いまそういうことにこだわっても、どうせわかりはしないのだから、こういう「つまずきのもと」はなるべく避けて、とにかく通読することだ。最初の通読で半分しかわからなくても、再読すれば、ずっとよくわかるようになるに違いない。
★積極的読書への4つの質問
著者はしっかり目を覚まし、積極的に読むことをすすめています。
そのために4つの質問をしながら読むことを推奨しています。
(1)全体として何に関する本か。読者はその本の主要テーマを発見し、それを著者がどのようにしてさらに小さい基礎的なテーマやトピックに細分し、順序よく発展させているかを見なくてはならない。(2)何がどのように詳しく述べられているか。著者が伝えようとしている思考、主張、議論の要点を、読者は発見しようと努めなくてはならない。(3)その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か。はじめの2つの質問に答えてからでないと、読者はこの質問に答えられない。何を言ってるのかがわからなくては、それが真実かどうか決めることができない。ある本を理解したときに、精神の著者の精神を知るだけではなく、その本が果たして真実かどうかを判断するのは、真面目な読者の義務である。(4)それにはどんな意義があるのか。その本が情報与えてくれたら、その意義を問わなくてはならない。著者はなぜ、そういうことを知ることが大切だと思うのか。それを知ることは、読者にとって重要か。そしてまた、その本が情報を与えるだけでなく、読者を啓発してくれたのなら、その先でどんな示唆がされているかを問いかけて、さらに啓発されるよう努める必要がある。
感想
以上、読書の第二レベル「点検読書」の方法を紹介しました。
「点検読書」の名前のとおり、前半部分は読むに値するかどうかの判断をするための作業。
そして”読む”と判断した場合にどう読むかですが、これもいわゆる精読ではなくて、ポイントを探しながら読むといったものです。
正直言ってこの読み方は小説など、一字一句しっかり目を通して登場人物の心の機微を追っていかなくてはならないような本には使えません。
(小説などの読み方も『本を読む本』の後半に紹介されています)
しかし、ビジネス書のようなスキル本などには効果的な読み方だと思います。
実際、藤井孝一さんも、ビジネスパーソンには「点検読書」で十分だと言っているように、仕事で資料や参考になる本を大量に読む場合、あるいはネットの記事にざっと目を通すときなど、私達は自然とこの読み方をしていますよね。
多読で大量インプットはビジネスパーソンにとって必要不可欠ではありますが、忙しいスケジュールの中で大量に本を読むのは難しいこと。
しかも世の中には読む価値の乏しい本もたくさんあります。
それらを短時間で効率よく選別すくスキルは今後ますます必要になってくるのではないでしょうか。
ちなみにこの「点検読書」と同じような手順をフォトリーディングでも行いますが、この「下読み」を行っただけで、「本気読み」のときのスピードが上がります。
「点検読書」、ぜひお試しください。
目次
日本の読者の皆さんへ モーティマー・J・アドラー
第1部 読書の意味
関連書籍
フォトリーディングも参考に