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ケント・ギルバート(著)『アメリカ人だから言えた 戦後日本教育の不都合な真実』(イースト新書)【本の紹介】日本の教育はインターネットが補ってくれる!?

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こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。

今日ご紹介するのは、ケント・ギルバートさんの『アメリカ人だから言えた 戦後日本教育の不都合な真実』 。

ケントさんはアメリカ人でありながら、日本で保守系の立ち位置で発言をしてくれている稀有な存在です。
本書はおもに日本の教育に起因する問題点を、アメリカ人の視点から突いてくれていて、なかなか日本人論者では語れない論点を気づかせてくれる内容。

では早速、気になるポイントの読書メモをシェア!

 

読書メモ

★War Guilt Information Program

 

 戦後、日本は連合国軍によって占領されました。戦後処理を行うために駐留したダグラス・マッカーサー元帥を最高司令官とするGHQ(連合国軍最高司令官総司令部、General Headquarters)は終戦処理と戦後統治をスムーズに行うための政策WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム、War Guilt Information Program)を展開しました。
 WGIPは、その存在を最初に指摘した『閉ざされた言語空間:占領軍の検閲と戦後日本』(江藤淳、文藝春秋、1989年)によれば、《戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画》と訳されます。戦前の日本は軍国主義の悪い国だった、全世界を悲劇に落とし込んだのは日本のせいだ、だから日本人は反省しなければならないと教え込むための、メディアおよび教育機関に対する政策です。

★リベラルは反抗期の子供

 

 そこで、日本の左翼は、イメージの悪くなった「左翼」という名称を捨て、みずからを「リベラル」と称し始めたのです。アメリカでは、リベラルというと、一般的には「専制政治からの自由、政府介入からの自由」から始まって、「個人の自由や平等を重んじる」という考え方を進めた結果、「人種差別反対、少数者の権利回復、弱者保護のための福祉政策」を求めるにいたる政治的立場のことを指します。基本的にはアメリカ民主党の立場です。
 ところが、残念ながら、リベラルの人たちは、その「自由」に必ずともなう「責任」に対する意識が低いのです。自由を守るために自分が何かをしなければならないとは考えず、当然の既得権だと訴える。〈中略〉リベラルの人たちは、他人に迷惑がかかってもお構いなしで、あるいは他人の価値観を頭から否定する、きわめて利己的な人たちが多いのです。要するに、反抗期の子供みたいな考え方です。

★型にはまった人間を生む日本のスポーツ教育

 

 日本の中学校や高校のクラブ活動を見ていると、私には、野球にしても、サッカーにしても、自分たちがけでやっている、何か「修行」のように見えます。競争心を心から楽しむことがスポーツの面白いところですから、もったいないと思います。

★日本からスーパーヒーローが生まれない理由

 

 結局のところ、健全な自尊心を身につけていない人が、他人の成功に対して「みじめな嫉妬心」を抱いしてしまうのです。そして、多くの日本人が、「無宗教」であることに一種のステイタスを感じていますから、伝統的な宗教の教養から、「嫉妬心はみじめで、みっともない」という常識を学べる人が少ない。そのうえに、道徳や倫理を軽視する戦後の日教組教育との相乗効果で、嫉妬心のみじめさが理解できない日本人がじつに多いのです。

★日本の学校に教育を任せられないこと

 日本人の多くは、自己決定権に対する意識が低く、それを大事にしなければいけないという認識がありません。理不尽な命令や管理に対して従順すぎます。「規則ですから」と言われると、あっさり引き下がる。そこで「どうして?」とは聞かない。

★教育とは「知識」ではなく「判断基準」を教えること

 

 これ(危機管理)を教育するためには、まず中学校や高校の部活の時間は減らしたほうがいいかもしれません。サービス残業過多のブラック企業の問題も、ある側面からいえば、部活動教育の、自己決定権は重視されず、上の命令を待つことを尊ぶところに原因があるように思います。だから、内部告発による改善ということも生じにくいわけです。
 子どもをつねに監視して管理し続けることも、ひとつの方法でしょう。しかし、子どもをずっと管理するとなると、持てる子どもは一人が限界です。子どもというものは、判断基準さえ押さえて教えておけば、勝手に正しく育つものです。

★日本の歴史教育に決定的にかけている視点

 

「吉田松陰が松下村塾をつくった」といったキーワードや、年表の数字を覚えることに終始するようです。その人物がどう働き、その後の日本にどんな影響を与えたか、それがいま、どう生きているのかといったことにはあまり触れられません。
 つまり、現在の日本の歴史教育には、価値判断というものがありません。「この人物はすばらしかった」「この人物には問題があった」という善悪の話がないわけです。

 日本の歴史教育が「善悪を教えてはいけない」とされているのは、間違いなくGHQの占領政策や教育改革の影響でしょう。「日本は世界に対して謝罪し続けなければならない悪い国である」という虚妄が大前提としてあるので、その歴史に善も悪もないということなのでしょう。しかし、これは変です。

★戦後の日本人の活躍をあらためて見渡してみる

 

日本を見直すというと、どうしても昔日の有名人や、歴史上の人物を調べるということになりがちですが、同時代の、もっと身近な、リアルタイムで活躍している人たちを正しく評価すること、また正しく評価できるようになるということが、日本の自尊心を取り戻すということにほかなりません。伝説に近いような歴史上の人物を無責任に褒め称えることは、あまりにも簡単なことです。

感想

 

◆呪縛は薄れつつあるのではないか?

まずは「読書メモ」を読んでいただいてどんな印象を持たれたでしょうか。

本書の大きなテーマは、「日本人は再び本来の自尊心を取り戻そう!」ということでしたが、現代の日本人が自尊心を持てない原因については、WGIPと日教組といった自虐教育に著者は原因をもとめています。

確かに、日本の戦後教育はこれらに起因してスタートしましたし、未だにその呪縛を受けているのは時折感じます。

ですが、時代が経て、その呪縛もかなり薄れてきていると僕は感じます。
現在安倍総理は憲法改正を表立って主張し始めていますが、ほんの20年くらい前には「憲法改正」なんてタブーでしたよね。

ですが、いまは実現可能な雰囲気になっています。

また、日教組に関してはおそらく都道府県によってその影響力はまちまちなんじゃないかな。
少なくとも僕が住んでいる香川県ではほとんどその影響や存在を感じません。

幼稚園の運動会でも子どもたちも保護者も全員起立して、国旗掲揚国歌斉唱しますからね。

僕は日本人としての自尊心は時間はかかっても自然に取り戻せると思っています。

◆インターネットが日本の教育を補う!?

また、学校教育についてですが、ケントさんは日本の教育について、ヒーローが生み出されにくい環境にあると主張されています。

これは確かにそうですね。

もともと慎み深さが美徳とされている国民性。
それが影響しているのかもしれませんが、平均的を良しとする気風はあると思います。
そして、おそらく学校教育のシステムは今後も変わらないでしょう。

ですが、ここ数年のSNSの発展によって、学校教育の変化に期待しなくても良くなってきています。
学校では認められない(活躍の場がない)特殊なテクニックや趣味を発表する場所がインターネット上にできたからです。

学校では無名の普通の生徒でも、ネット上では有名人という事が起こっています。

インターネットが学校教育では評価されない若者の、活躍の場、発表の場となってくれているのが現在。
もう学校教育にいろいろ求める必要はないんじゃないかと思います。

ということで、ケントさんのご指摘はたしかに的を得ているのですが、僕はそれほど心配はいらないというか、自然と解消されていくんじゃないかと楽観的に捉えています。

インターネット時代はデマが拡散されるリスクも大きいですが、嘘がすぐにバレるという効用もあります。

何が正しいか、何が嘘なのか、それは国民が決められる時代。
もはやイデオロギーでは染められることはないと思うのです。

◆歴史教育は人物を語ってこそ面白くなる

最後に歴史好きとして、本書で語られている歴史教育につい触れておきます。

受験で覚えないといけない歴史用語は3000を超えると言われています。
それで、歴史の教科書から用語をできるだけ削ろうという動きがあって、それはそれでいいのですが、たとえば坂本龍馬も削られる対象になっていたりするそうです。

歴史好きとして一言物申したいのは、歴史を面白くするは「人物」だということ。

人を語らずしてなにが歴史教育なのか?
歴史に興味を持つきっかけは魅力的な歴史上の人物がきっかけとなることが多いはず。

甕棺墓をきっかけに歴史好きになる人なんていないでしょ?

その点、文科省にはしっかり考えていただきたいですね。

本書はイースト・プレス社様からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。

目次

はじめに
第1章 リベラルに翻弄された戦後日本教育の正体
第2章 日本では教えられない「国際社会の常識」
第3章 消去された日本人の「自尊心」
第4章 中国人と韓国人が嫉妬する日本人ヒーロー
第5章 日本人が「本来の強さ」を取り戻すために
終章 自立心をもった人間を育てる「七か条」
おわりに

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