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イノベーション・エンジンを始動せよ【書評】ティナ・シーリグ (著)『未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II』阪急コミュニケーションズ

おはようございます、息子はスタンフォード大学に入れて、卒業後はAppleに就職させ、社員価格でMacを購入することを狙っている一龍(@ichiryuu)です。

今日は、あの白熱教室、ティナ・シーリグ先生の新刊をご紹介。
学生、社会人関係なくクリエイティブな人生を送りたい方、必読です!

【目次】
日本の読者のみなさんへ
はじめに アイデアは安いのではない・・・タダなのだ
第1章 革命を起こす
第2章 蜂を招き入れる
第3章 積み上げ、積み上げ、積み上げ、ジャンプ!
第4章 忘れられた顧客カード
第5章 机の王国
第6章 ココナッツを思い出す
第7章 猫のエサを動かす
第8章 てっぺんのマシュマロ
第9章 がんがん動いて、どんどん壊せ
第10章 魔法の靴を履く人、履かない人
第11章 内から外、外から内へ
感謝の言葉

【ポイント&レバレッジメモ】

★リフレーミングで視点を変える
『パワーズ・オブ・テン(10のべき乗)』

 この傑作映像が教えてくれるのは、どんな状況も違う角度から見ることが出来る、ということです。クローズアップすることもできるし、遠くから俯瞰的にみることもできます。私たちは日々の生活の中で、何をみて、何を聞き、どんな経験をするのか、そのフレームを自分自身で作っています。フレームによって、考え方は豊かにもなれば、貧弱にもなります。私たちは普段、フレームのことなど気にも留めません。世の中を適切なレンズで見ているはずだと思っています。ですが、問いの立て方を学び、参照するフレームを変えられるようになることこそが、想像力を豊かにするカギなのであり、そうすることで、これまでとはまったく違った気づきを得られるのです。

★ありえない場所にヒントを探す

 人や場所、モノ、アイデアを思いがけない形で結びつけることで、想像力は大きくふくらみます。このスキルを鍛えるには、刺激的な比喩を使うこと、普段とは違う世界にふれること、既存のアイデアに積み上げていくこと、ありえない場所にヒントを探すことです。こうした方法は、クリエイティブ・シンキングの能力を高め、斬新なアイデアを思いつくためのすばらしいツールなのです。

★観察力を発揮する

 鋭い観察だけでは、十分とは言えません。観察したものを、定着させる効率的な方法が必要です。芸術家は、様々な方法で自分の経験を記録することによって、自分のものにしています。そして、自分の経験を、絵画や写真、ダンス、そして文章として表現しているのです。見聞きしたことを捉える行為によって、経験は心に残るものとなります。美術や音楽の授業が重要な理由の一つは、ここにあります。芸術について学ぶとは、単に絵を描いたり、写真を撮ったり、彫刻を彫ったりする方法を学ぶことではありません。細部にまで目を凝らして、世界を観察し、観察したものを自分の中に取り込み、そして、選んだ媒体を使ってそれを表現していくことなのです。

★空間という変数で行動が変わる

 あらゆる環境において、空間は重要な要素です。何をすべきか、何をすべきでないかを空間が物語っているからです。刺激のある空間で生活し、仕事をしているなら、斬新なアイデアを大いに歓迎するでしょう。逆に、退屈で閉じられた空間にいれば、創造性は抑えられてしまいます。リズ・ガーバーがワークショップの参加者にけしかけたように、家具の配置を変え、刷毛を手に持ち、自分が部屋を刺激的な絵やモノで飾ることを考えてみてください。あるいは電動ドライバーで、クリエイティビティを高める空間を作ったっていいのです。
空間は、人生を演じる舞台です。クリエイティブな人間でありたければ、想像力を解放するような物理的な空間を作る必要があるのです。

★失敗は正しくやり直すチャンスだ

 意識して欲しいのは、私たちは日々、何かしらの実験をしているということです。自己紹介したり、はじめての料理を食べたりといった、単純なことでも、実験は実験です。つまり、予想外の結果にどう対処するかを練習し、そこから学ぶ機会が数多くあるわけです。訓練された科学者は、この点をよく知っているので、重要な疑問の答えを得るために、実験の設計に最善を尽くします。結果は二の次です。毎回の実験から有益な手がかりが得られ、理解が深まることを知っているのです。<中略>実験がうまくいかなくても、データが得られ、何かしら新しいことを学ぶ機会が得られるのです。科学者に習って、自分が予想しなかった結果が出たときに、失敗したと考えるのはやめましょう。「失敗」は「データ」なのだと、言葉を変えることによって、試してみようという意欲は高まります。

 アイデアを思いついたら、できるだけ早く人前で披露し、すぐにフィードバックがもらえるようにすることがカギになります。考えることに時間をかければかけるほど、それに固執するようになります。だから、まだ練れていない段階で人に見せて意見をもらうほうがいいのです。そうすれば、うまくいかない時にも、あきらめやすくなります。残念ながら、ほとんどの職場では、磨きをかけてからでないと発表してはいけないという空気が支配しています。磨きをかける時間が長ければ、それだけ思い入れが強くなり、うまくいかなかった時にもあきらめきれなくなるのですが。

★イノベーション・エンジン
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 イノベーション・エンジンは、各人の創造性に影響を与える内的および外的要因の関係を捉えたモデルです。
内側で創造性を左右するのは、知識、想像力、姿勢です。<中略>
外側の世界には、イノベーション・エンジンに影響を与える重要な要素が三つあります。資源、環境、文化です。こうした外的要因は、創造性を刺激する場合もあれば、殺してしまう場合もあります。<中略>
イノベーション・エンジンの部品は、分ちがたく結びつき、互いに影響し合っています。<中略>
イノベーション・エンジンの鍵を握っているのは、読者のみなさんひとりひとりであり、クリエイティブな能力は解放されるのを待っています。もともとある、この能力を引き出すことで、あらゆる面で課題を克服し、チャンスを生み出す力が得られます。

【感想など】

本書は、以前当ブログでも紹介した、ティナ・シーリング先生のこの本

参考記事

www.s-ichiryuu.com

の続編にあたります。

しかし、前作が自己啓発的な色合いが濃かったのに対して、本書は徹底して”クリエイティブとか””イノベーション”といったところに焦点を当てています。

内容としては、スタンフォード大学だけでなく、日本も含めて多数の国々の学生に課した課題とその結果や、企業・研究所などの豊富な事例を紹介しつつ、イノベーションについて解説するというもの。

難題・奇題とそれに必死で格闘する学生たちの姿と導き出した答えに驚愕します。

(正直、自分が学生でなくて良かったと・・・)

さて、”イノベーション”という言葉。

当ブログでもイノベーションをテーマとした本を最近よくご紹介しています。
ビジネス書の一つの大きなジャンルを形成していると思います。

ちょっとしたイノベーション・ブームですね。

それだけ今の日本社会がイノベーションの重要性と、日本に決定的に不足しているという実感があるということなのでしょう。

そもそもこのイノベーションを語るとき、「日本人は画期的な発明が苦手な民族だ」という趣旨の発言をよく耳にします。
これに関して、ワタクシはまったく反対意見。

そもそも日本人にはイノベーターのDNAが培われています。

歴史を思い出してみてください。

ポルトガル人が鉄砲をもたらしたとき、1年後には国産の、オリジナルよりも性能のいい鉄砲が作られていました。
黒船が来航したとき、すぐにエンジン以外はコピーの国産黒船を作りました。
パソコンも一時は世界を制しました。

どれもオリジナルではありませんが、日本人らしい工夫と改良で新しいものをすぐに作っています。

そういえばウォークマンは小さなカセットテーププレイヤーと小さなイヤホンの組み合わせで生まれましたよね。

日本人にもイノベーターの資質は絶対にあると思うのです。
では今なぜ日本はこういう状態なのか>

本書でも述べられていますが、イノベーションというのは、世の中にまったく存在しないものを生み出すことではありません。

これまであったものを組み合わせてみたり、大幅に改良したり、あるいは本来とは違う使い方に気がついたりといったことがほぼ全てです。

見方・考え方を変える or 組み合わせを変える → アイデアを実験する → 改良する

成功の鍵は、このサイクルをいかに速く、軽快なステップで回転させるか。

おそらくこれが今の日本に欠如しているところではないでしょうか。
そして、この「とにかくやってみよう」という精神を抑えてしまっている”空気”が、この20年ぐらい日本を支配していると感じます。

イノベーターのスピードとパワーを吸収してしまう、まるでヒッグス粒子のような”空気”。

この”空気”に減速されない若きイノベーターの登場をぜひ期待したい。
そのためにはまず”空気”を変えましょう。

せめて我々大人は「環境」を整える役目ぐらいは務めたいものです。

もちろん若いものにはまだまだ負けません!という気概でクリエイティブな「姿勢」で人生に向かいたいですね。

すべてのイノベーター、クリエイターへ。

本書は阪急コミュニケーションズ、本田様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】

本書中で紹介・引用されている本を紹介

シリコンバレーの真価は、ときに競合企業同士でも平気で協力する非公式ネットワークにある。アナリー・サクセニアン教授は、1994年の著書でこう結論づけた。それから15年、シリコンバレーに匹敵するハイテク集積地域は、ついに生まれなかった。この日本でも……。
本書は、ライバルだったボストン・ルート128地域と徹底的に対比させることで、シリコンバレーの強みを生き生きと描き出す。高い転職率、非公式な情報共有、提携企業との親密な関係。企業の境界があいまいになり、繰り返しイノベーションが起きた秘訣を探る。
対するルート128地域は、DECに代表される大企業が孤立主義をとり、あっと言う間に衰退していった。日本の大企業幹部や、政府の政策担当者は、自分たちがルート128地域のほうに似ていると感じている。本書がアメリカで発売されて後、かれらは繰り返しシリコンバレーを視察で訪れたが、ついに日本版“シリコンバレー”は誕生していない。果たして日本産業復活の切り札はどこにあるの
か。世界に通用するベンチャー企業は日本から生まれるのか。21世紀に本書の提言を生かせるかどうかは、自分たち次第だ。

「脳が備えていてコンピューターが持たない知能とはなんだろうか?6歳の子供は河床の岩から岩へと優雅に飛び移っていくのに、なぜ最新型のロボットはゾンビのようにぎくしゃくとしか動けないのか?わずか3歳の子供が順調に言葉を覚えていくのに、半世紀にわたる研究者の奮闘にもかかわらず、なぜコンピューターにはそれが不可能なのか?人間は一秒とかからずイヌとネコを見わけられるのに、なぜスーパーコンピューターにはまったく区別できないのか?」――パームコンピューティング社とハンドスプリング社を設立し、数々のPDAを世に送り出してきたジェフ・ホーキンス。IT業界で大成功を収めるかたわらで、彼が追い続けてきたもう一つの情熱は「脳の働きをあきらかにしたい。そして、その働きを人工の装置の上で実現したい。つまり、人間のように考える機能を持った、真の知能を備えた機械をつくりたい」という思いだった。哲学の観点からではなく、ただの一般論でもなく、実用的で詳細な工学の立場から知能の本質をさぐり、脳の働きを明らかにしたいという彼の情熱が今、大脳新皮質の「記憶」と「予測」の機能から、“真の知能”の姿を描きだす。長年の研究成果を踏まえ満を持して語る、脳科学、コンピューター科学を揺るがす新たなビジョン!

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