
空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)
- 作者:小飼 弾
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2009/10/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
小飼弾さんの初の読書本。
その圧倒的な読書アスリートぶりの秘密や秘訣を見逃すわけにはまいりません。
【目次】
はじめに
第1章 本を読め。人生は変わる
2割の成功者は本を読んでいる
不況だからこそ本を読め 他第2章 本を読め。答えは見つかる
ファミコンよりも本は魅力的
本は水である 他第3章 「手」で読め。そして「脳」で読め
まず本は「手」で消化せよ
ノンフィクションは構造を読め! 他第4章 を読んだら、「自分」を読め
クソ本を踏むのも一興
ひきこもって本を読め 他第5章 本は安く買え。そして高く飛べ
安い本で一眉ならしを,しろ
ハードカバーはいい迷惑だ 他第6章 口本も読め。創造力を養え
「全米が抜いた!?」
キャッチコビーはエロ本にまかせろ 他第7章マンガを読めば「世界」がわかる
マンガの2つの「穴」
出版社の手口にだまされるな 他
おわりに
小飼弾が選ぶ最強の100冊十1
【ポイント&弾言メモ】
★読書量と収入は比例する
私が知る限り、仕事ができて年収が高い「勝ち組」にいる人、つまり2割の側にいる人ほど積極的に本を読んでいます。
★読書とは「遊び」
読書を「〜しなければならない」にするのはよくない。本は遊びにも仕事にも役立つけれど、「読まなければいけない」「何かを学び取らなければいけない」という義務感から読んでも、その本の内容は自分の血肉とはならないものなのです。
★節約すべきは、お金よりも時間
情報をインプットするだけの情報メタボになりたかったら、どんどんテレビを見てもらってかまわない。しかし、時間をコストで考えれば、決して取り戻せない時間をテレビで浪費するなどバカげたことなのです。
★Webは「本の原稿」
本の値段のかなりの部分というのは、実は「本になっても読まれないもの」を没にするためでもあるのです。そう考えれば、わざわざ自分で生情報をていねいに拾っていらないものを捨てるより、本を「丸読み」したほうが「栄養価」は高いのです。
★旅をすること
ノンフィクションは本当の旅のシミュレーションであり、フィクションは自分の心のなかに旅先をつくる、「内なる」旅といってもいいでしょう。
★空気は教室やオフィスではなく、本の行間で読みましょう。
古典はそのテキストだけを読んでも意味がなく、どんなときに誰に向かって書かれたのか、そのコンテキスト(=背景や文脈)を理解してはじめて読み込めるものなのです。深く理解し、楽しむためには、その本が書かれた過去の時代のことを知らなければなりません。空気と言い換えてもよいかもしれません。
★「手」で読めるようになる
今のところは、とにかく手を動かしてページをめくることを繰り返すほうが読書マスターへの早道でしょう。習慣として身体に覚え込ませるほうが、読書の上級者に早く近づける。
★付箋を貼る。ペンで線を引く。ページの隅を折る。でも、私は、そのどれもすることはないですし、支持もしません。
本に付箋を貼りながら読むのは、読書ではなく「解読」になってしまう。いいノンフィクションは目次が付箋の役割を果たしてくれているし、そうなっていない本は、クソ本であり悪い商品といえます。いちいち「解読」をしていたら、さくさく読めないでしよ?
もうひとつ付箋を貼るデメリットは、その本を読んでいるのではなく、後から付箋を読むことになってしまうからです。これでは思考が停止してしまう。
★脳で処理するほうが圧倒的に速い
読書体験を積み重ねて、マインドマップは脳内につくる。これによって、読書のスピードも質も上がり、「脳力」もアップするでしょう。
★1時間で10冊読む
目次をかたっぱしから読みますよね。1冊目の目次を読み終えたら2冊目という具合に。そして、ここは気になるところだなと感知した部分だけを読む。これなら1時間で10冊の本を読める。新書なら、これくらいのスピードで私は読んでしまいます。
★クソ本は青汁だ
クソ本そのものには価値はないけれども、クソ本を踏んでしまったという体験は、必ず得になる。不味いけれども体のためになる。未来永劫、クソ本であり続ける本がないのと同様に、どんなクソ本もアンチテーゼにして糧にできるのです。
★自分の意見と真っ向から対立する本を読む
これは、読書体験を磯かにするうえで欠かせません。読書の前後で自分がどれだけ変わったか、「本を読んだら自分を読む」という確認作業です。
★「本は商品である」・・・「安くていいモノ」を選ぶためには
基本は、出版社の商売のパターンを逆手に取ることです。そういうと、難しく聞こえるかもしれないけれど、とても簡単。まず、ベストセラーの文庫化を狙うのがいちばん手っ取り早い。新刊ではなく、文庫になってから読む。時間というフィルターを通しているわけですから、より冷静な判断がくだせます。
★官能小説で養う「創造力」
欲情するなら、エロ小説で欲情できるようになりましょう!言葉というポインター(変数)を、脳内で実体に戻すという作業を強いられるので、イマジネーションが強化されます。
【感想など】
本書は言わずと知れたアルファーブロガー、小飼弾さんの初めての読書本です。
ワタクシにとって小飼弾さんは、書評ブロガーとしてはその歯にモノ着せぬ切れ味鋭い“弾言”が、そしていち読書好きとしてはその読書スピードと読書量、そして自宅の超高層マンションの図書館のような書棚などなど、すべてが憧れであり目標でもある人です。
ただ、悔しいかな「人間には無限の可能性がある」ことは信じつつも、「人には持って生まれた才能がある」こともワタクシ悟っております。
世の中どんな分野でも「どうあがいても勝てない」という人が存在します。
ワタクシにとって弾さんは読書の分野ではそういう存在でもあるわけです。
だってね、ひと月の読書量が400冊(献本が300冊、自分で買うのが100冊)だそうですよ。
しかも時速10冊ペースで読んでしまう。
すでに有名な映像ですが一応貼っておきますので弾さんの読書シーンをまだ見たことないという方は一度見てみてくださいませ。(後半部分で信じられないスピードで読みますよ!)
しかし、自分も含め多読派の人にとっては、かなわないとわかっていても小飼弾式読書術にちょっとは近づきたいのですよ。
で、そういう方にとって本書は小飼弾さんの初の読書本で、ヒントが満載となっております。
まずはルーツ オブ 小飼弾。
今回本書では弾さんの子供のころの読書風景が紹介されておりますが、ここからいきなり驚愕。
私の1日は、本にはじまり本に終わるものでした。午前中に図書館へ行って閉館時間まで読む。貸し出し数の限度いっぱい借りて家に帰り、家でそれらの本を読む。翌日、目を覚まして前日に読み終えられなかった本があれば、食事をしながらページをめくる。そして返却して、また借りてくる。その繰り返しです。
しかし、それでは1日に消化する読書量を埋められなくなってきて、家族が持っている利用カードも使いはじめました。だから、家に持って帰る本は段ボール箱ひとつ分くらい。読んだ本が1日に50冊を切ると、「ああ今日は本を読まなかった」という感覚になったものです。当時は読むのに今の倍近く時間がかかっていましたが、たぶん平均すると6時間くらいは読書に当てていました。
子供のころに一日50冊ですって・・・。言葉が出ない。
ワタクシのような1年で1冊本を読むか読まないかといった子供時代を過ごした凡人には何のヒントにもなりませんね。
スタート時点が違いすぎて、むしろやる気なくしそう。
気を取り直して、注目したのは 「手」で読め というフレーズ。
これは大きなヒントになるのではと思います。
というのも読書は「脳」の理解スピードに合わせて進んでいくもの。
「読書は肉体的な行為」と弾さんが言うのが正しいのなら筋トレと一緒で「脳」にスピードという負荷をかければ、いずれその負荷になれてきて読書スピードはアップするのではないでしょうか。
要するに、トップアスリートがハイレベルな練習を積むように、読書も意識的に速く読むという負荷をかけ続ければいつかそのレベルも上がっていくんでしょう。
無理にでも早いペースでページをめくり続ける!これやってみる価値あるかも。
また、内容を理解する上で弾さんは「目次」・「索引」への注目・理解にすごく重要性を説いている点もヒントとなると思われます。
実はフォトリーディングでも「目次」や「索引」を内容理解のために重要視します。
「目次」や「索引」はいわば本の設計図。
特にノンフィクションの場合は自分が求める情報を探す地図にもなるものですから、いきなり本文を読み始めるのではなく、もっと時間をかけて“解読する”必要があるのではないでしょうか。
いずれにしても、弾さんの読書術は、それこそ現在のイチローが何万回と素振りをしてきた積み重ねの上に存在するのと一緒。
あの境地に少しでも近づきたければ、「1冊でも多く本を読め!」ということなんでしょう。
これからは上記ポイント2点に注意して読んでいきたいと思います。
そうそう、広範囲の読書も大きなポイントかと。
ここも留意せねば。
さて、常々疑問というか感心していたことがもう一つあります。
それは「弾さんがブログで紹介した本にハズレがないのはどうしてか?」ということ。
あの~、恐れながら申し上げると、弾さんの書評は時々“弾言”の切れ味が鋭すぎて「???」なことがあるのですよ。(ワタクシの理解力がないからかもしれませんが・・・)
でも、紹介されている本は例外なく素晴らしい本ばかり(←ただし、プログラムの本や理系の本はワタクシ全く判断できないのですが・・・汗)
その“弾式本選びのコツ”も今回注目させていただきました。
どんな本選びの基準やコツが出るのかと思いきや、やはりなかなか面白い。
・不条理な理由で立場を追われた人は狙い目
・ベストセラーは文庫化されてから読む
・新書は、本をたくさん読む人向け
などなどあらためて納得する意見ばかり。
また、小遣いの少ない私のような小市民は絶対踏みたくないクソ本に関しては、「クソ本を踏むことも糧となる」という“弾言”からは想像できないやさしいお言葉。
ま、ようするにあきらめて気持ちの切り替えをしろということでしょう。
もっとも、弾さんの月に400冊の読書量を考えればブログで紹介されるのはその1割程度ですから自然と両書ばかりになるのは当たりまですよね。
あと、今回意外だったのが
本と価格との関係における定石 ⇒単行本よりも文庫、新書のほうがベター。古本で読めるならなおいい
という弾さんの考え方。
「金に糸目はつけないぜ」的に本を買いあさっているのかと思いきや、意外と庶民派だったんですね。
多くの著名な読書家が「本は身銭を切って買わなければ身に付かない」と主張する中、こう言ってくださると庶民としてはありがたい。
図書館も大いに勧められていますよ。(そういえば最近図書館いってないなぁ。)
また、巻末には最近の読書本ではお約束のように掲載されるようになった弾さんのお勧め本リストが。
どれも現代人必携であること間違いなし!として101冊紹介されています。
さすがに守備範囲の広い弾さん。
このリスト、かなりバリエーション豊富で面白いです。
(ちなみにワタクシは101冊中11冊しか読んでいません。まだまだ読むべき本がたくさんある!ツイてる!)
多読派の皆さん、弾式読書術にあこがれる皆さん、必読ですよ。
読書界のトップアスリートを目指しましょう。

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)
- 作者:小飼 弾
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2009/10/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
【参考記事】